こんにちは。時短父さんです。
米マクドナルド(MCD)は28日、4-6月期の四半期決算を発表しました。世界の既存店売上高が前年同期比で40%増、2年前比でも7%増となるなど、全てのセグメントで増加しており、内容は良かったです。
全店売上高は58.8億ドル(前年同期比56%増)、営業利益は26.9億ドル(同180%増)、純利益は22.2億ドル(同358%増)となりました。全てコロナ前の2019年を上回っています。
希薄化後一株利益は2.95ドル、一時項目を除く調整後では2.37ドルで、前年同期の0.66ドルの3.5倍となりました(2019年は2.05ドル)。
まずは売上高も、利益も大きく増加したうえ、コロナ前を上回ることが出来て安心しました。人々が外に出て活動を再開させていることがはっきりと分かりました。
ただいくつか気になっていた点がありまして、それは原材料価格の上昇と労働力の不足です。前者については、同社のP/Lを見る限りでは今のところ問題なさそうです。全てのセグメントで営業費用の伸び率は売上高のそれを下回っているからです。
後者については、マクドナルドのケプチンスキーCEOが、米欧での労働力不足が深刻化しており、店舗を運営するスタッフの確保も「難しい」と述べました。
確かにここ数ヶ月間、報道などを見てみても、新規求人数は多いのに、失業率は高いまま、労働参加率が上昇しないといったことを耳にします。米政権の手厚い手当で労働参加が進まないことなどが要因のようです。
このままでは賃金の上昇によるコスト増⇒利益圧迫の懸念や、一部店舗の閉鎖による売上高の減少が起こり得るので、それらが懸念されます。
一方で、27日に発表した米スリーエム(MMM)は、こちらも利益の事前予想を上回り、通期の業績見通しも上方修正し、株価上昇の期待が高まったのですが、そうとはなりませんでした。
四半期売上高は89.5億ドル(前年同期比24%増)、営業利益は19.7億ドル(同13%増)、純利益は15.2億ドル(同18%増)でした。
分かりますよね?売上高は24%増でしたが、営業利益は13%しか増えませんでした。つまりコストが上昇しているのです。
スリーエムのP/Lを見ると、2019年4-6月期の売上原価は38.0億ドルでしたが、今年は47.2億ドルで、9億ドル(24%)も原材料費・製造費・物流費が上昇しています。スリーエムは製造業ですから、何がしかの材料を仕入れ、それを加工して製品を作り、それを輸送します。ここのコストが上がってきたのです。
同社が発表したところによると、2021年の物流費及び原材料費予想は、従来の1株当たり0.30~0.50ドルから、0.65~0.80ドルと引き上げが行われました。コストが2倍前後上昇するってことです。
今後、さらなるコスト上昇が同社の業績回復に水を差すかもしれません。
話を元に戻しすと、4-6月期の希薄化後も調整後も一株利益は2.59ドルでした。これは前年同期の希薄化後では2.22ドルを16%上回り、調整後では1.78ドルを45%上回ります。
セグメント別では安全・産業部門と交通・エレクトロニクス部門の売上高増加が顕著でした。セグメント利益では交通・エレクトロニクス部門とヘルスケア部門の増加が目立ちました。
6ヵ月間の累積キャッシュフローでは、営業キャッシュフローが35.7億ドル(前年同期比14%増)、投資支出は7.0億ドルで、フリーキャッシュフローは28.7億ドル(同19%増)でした。6ヵ月間累積フリーキャッシュフローとしては、3年連続で増加しました。
スリーエムはこの半年間で株主に配当を17.1億ドルを支払っていますから、配当性向(配当がフリーキャッシュフローに占める比率)は60%となり、3年連続で低下しました。
またスリーエムは通期の見通しを上方修正し、売上高成長率を従来の5~8%から7~10%としました。一株利益も、従来の9.20~9.70ドルから9.70~10.10ドルに引き上げており、本当に10ドルを超えれば、これは同社にとって初めてのことになります。
来年以降の配当増加も期待が持てるものになるでしょう。
マクドナルド(サービス業)とスリーエム(製造業)ではコスト上昇要因が異なりますが、それぞれにおいて、今後利益を圧迫する懸念があることは間違いありません。両者の経営陣にはうまくかじ取りをしてもらいたいと思います。
楽しい投資生活を。
米マクドナルド(MCD)は28日、4-6月期の四半期決算を発表しました。世界の既存店売上高が前年同期比で40%増、2年前比でも7%増となるなど、全てのセグメントで増加しており、内容は良かったです。
全店売上高は58.8億ドル(前年同期比56%増)、営業利益は26.9億ドル(同180%増)、純利益は22.2億ドル(同358%増)となりました。全てコロナ前の2019年を上回っています。
希薄化後一株利益は2.95ドル、一時項目を除く調整後では2.37ドルで、前年同期の0.66ドルの3.5倍となりました(2019年は2.05ドル)。
まずは売上高も、利益も大きく増加したうえ、コロナ前を上回ることが出来て安心しました。人々が外に出て活動を再開させていることがはっきりと分かりました。
ただいくつか気になっていた点がありまして、それは原材料価格の上昇と労働力の不足です。前者については、同社のP/Lを見る限りでは今のところ問題なさそうです。全てのセグメントで営業費用の伸び率は売上高のそれを下回っているからです。
後者については、マクドナルドのケプチンスキーCEOが、米欧での労働力不足が深刻化しており、店舗を運営するスタッフの確保も「難しい」と述べました。
確かにここ数ヶ月間、報道などを見てみても、新規求人数は多いのに、失業率は高いまま、労働参加率が上昇しないといったことを耳にします。米政権の手厚い手当で労働参加が進まないことなどが要因のようです。
このままでは賃金の上昇によるコスト増⇒利益圧迫の懸念や、一部店舗の閉鎖による売上高の減少が起こり得るので、それらが懸念されます。
一方で、27日に発表した米スリーエム(MMM)は、こちらも利益の事前予想を上回り、通期の業績見通しも上方修正し、株価上昇の期待が高まったのですが、そうとはなりませんでした。
四半期売上高は89.5億ドル(前年同期比24%増)、営業利益は19.7億ドル(同13%増)、純利益は15.2億ドル(同18%増)でした。
分かりますよね?売上高は24%増でしたが、営業利益は13%しか増えませんでした。つまりコストが上昇しているのです。
スリーエムのP/Lを見ると、2019年4-6月期の売上原価は38.0億ドルでしたが、今年は47.2億ドルで、9億ドル(24%)も原材料費・製造費・物流費が上昇しています。スリーエムは製造業ですから、何がしかの材料を仕入れ、それを加工して製品を作り、それを輸送します。ここのコストが上がってきたのです。
同社が発表したところによると、2021年の物流費及び原材料費予想は、従来の1株当たり0.30~0.50ドルから、0.65~0.80ドルと引き上げが行われました。コストが2倍前後上昇するってことです。
今後、さらなるコスト上昇が同社の業績回復に水を差すかもしれません。
話を元に戻しすと、4-6月期の希薄化後も調整後も一株利益は2.59ドルでした。これは前年同期の希薄化後では2.22ドルを16%上回り、調整後では1.78ドルを45%上回ります。
セグメント別では安全・産業部門と交通・エレクトロニクス部門の売上高増加が顕著でした。セグメント利益では交通・エレクトロニクス部門とヘルスケア部門の増加が目立ちました。
6ヵ月間の累積キャッシュフローでは、営業キャッシュフローが35.7億ドル(前年同期比14%増)、投資支出は7.0億ドルで、フリーキャッシュフローは28.7億ドル(同19%増)でした。6ヵ月間累積フリーキャッシュフローとしては、3年連続で増加しました。
スリーエムはこの半年間で株主に配当を17.1億ドルを支払っていますから、配当性向(配当がフリーキャッシュフローに占める比率)は60%となり、3年連続で低下しました。
またスリーエムは通期の見通しを上方修正し、売上高成長率を従来の5~8%から7~10%としました。一株利益も、従来の9.20~9.70ドルから9.70~10.10ドルに引き上げており、本当に10ドルを超えれば、これは同社にとって初めてのことになります。
来年以降の配当増加も期待が持てるものになるでしょう。
マクドナルド(サービス業)とスリーエム(製造業)ではコスト上昇要因が異なりますが、それぞれにおいて、今後利益を圧迫する懸念があることは間違いありません。両者の経営陣にはうまくかじ取りをしてもらいたいと思います。
楽しい投資生活を。
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