こんにちは。時短父さんです。

米通信大手AT&Tが2021年4-6月期の決算を発表しました。内容はまちまちでしたね。

売上高は440.4億ドルで、前年同期比7%増加しました。携帯電話契約数やストリーミングサービスのHBOマックスの契約者数が増加したことなどが寄与しました。市場予想は427.3億ドルでした。

営業利益は32.7億ドルで、同7%減少しました。メディア事業のコンテンツ費用が増加したことや中南米事業「Vrio」の評価損で45億ドルを計上したことなどで、営業費用が増加したためです。

純利利益は15.7億ドルで、同22%増加しました。利息払いが減少したことや法人税の支払が減少したことが純利益を押し上げました。借入の返済を進めている最中ですが、ここで良い効果が現れましたね。

希薄化後の一株利益は0.21ドルで同23%増加しました。

あれ?

増加したとはいえ、AT&Tの四半期一株利益ってこんなに少なかったでしたっけ??これじゃ四半期配当0.52ドルを全然賄えません。1-3月期の四半期一株利益は1.04ドルもありました。

ご安心下さい。見た目上(報告ベース)の一株利益は0.21ドルですが、これには45億ドルの評価損が含まれています。これはキャッシュの流出を伴わない費用なので、配当支払いにはほとんど影響しません。

これら一時的な項目を除いた調整後の一株利益は0.86ドルで、前年同期比では2%増加しました。調整後一株利益は、ここ数年横ばいとなっています。実は19年4-6月期も報告ベースの一株利益は急減していたのですね。理由は何だったかな、、、。

【T】2Q業績推移

評価損の対象となった中米事業のVrioですが、アルゼンチンの通信会社Grupo Wertheinに売却されることが先日発表されました。AT&Tの同事業は、中南米の11か国に1030万人の契約者を持ち、ディレクTV事業などを展開しています。

売却は2022年の初期に完了する予定ですが、まだ事業としてはAT&Tのもとにあります。なので、Vrioの収益はAT&Tのものですが、何故評価損となるのでしょうね?

先日の発表文では「AT&T classified Vrio as held-for-sale」、つまり「AT&TはVrioを売却目的資産」として見なすから、とのことです。帳簿価額が売却取引によって回収される場合、当該資産を売却目的保有に分類し(会計上)、評価損を測定することになっているようです。

ちなみにVrioの四半期売上高は7.5億ドルなので、AT&T全体の売上高440億ドルの1.7%に過ぎません。

4-6月のAT&Tの契約者数が増加したとのことですが、携帯電話事業では、後払い携帯電話契約数が78.9万人純増、前払い携帯電話契約数が17.4万人純増しました。後払い携帯電話契約の解約率は0.69%で、最も低い水準となりました。

メディア関連ではHBOマックス等の契約数は280万人の純増となりました。世界中では6750万人が契約していることになります(1年間で1200万人増)。好調なのに、スピンオフしなきゃいけなんなんて、勿体ない気もします。


さて、AT&Tのキャッシュフローはどうだったでしょうか?
1-6月期の累積営業キャッシュフローは208.3億ドルで、前年同期と横ばいでした。1-6月期の累積売上高は879.8億ドルだったので、営業キャッシュフローマージンは23.7%と、前年同期の25.0%から下落しました。

【T】2QCF推移

一方で投資支出は79.9億ドルで、前年同期比15%減少しました。よってフリーキャッシュフローは128.4億ドル(同12%増)となりました。同期間で支払った配当額は75.7億ドルだったので、配当性向は59%です(前年同期は65%)。

AT&Tの発表文によれば、通期の予想では270億ドルのフリーキャッシュフローとしていて、もしかして10億ドルほど上方修正されたかもしれません。配当性向は50%台後半とのことです。

いろいろ言われているAT&Tですが、まずまずな結果に一安心と言ったところです。皆さんはどう評価しますか?

楽しい投資生活を。
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マーク リクテンフェルド
APJ Media
2020-06-18