こんにちは。時短父さんです。

米たばこ大手のフィリップ・モリスインターナショナル(PM)は20日、2021年第2四半期の決算を発表しました。内容はまちまちでした。

売上高にあたる純収入は75.9億ドルで、前年同期比14%増となったものの、市場予想77.1億ドルを下回りました。中東・アフリカ地域での販売が20%程度落ち込んだことなどが影響しました。

一方で、営業利益は31.2億ドル(前年同期比14%増)、純利益は21.7億ドル(同11%増)でした。

希薄化後の一株利益は1.39ドル(同11%増)、調整後の一株利益は1.57ドル(同21%増)で、市場予想の1.55ドルをわずかに上回りました。

純収入、営業利益、純利益、一株利益ともに2ケタの大幅増となったものの、これは前年同期にコロナ・パンデミックによる落ち込みがあったからです。実際2年前の業績と比べてると、純収入は1%減、営業利益は2%減、純利益は6%減、一株利益も6%減などとなています。

【PM】2Q業績推移

第1四半期の時は、2019年比でも大幅な増加がみられたのですが、第2四半期は需要の回復が乏しいことが示唆されました。

地域別の純収入では、EUが前年同期比27%増、東欧は同14%増、中東・アフリカは同20%減、南・東南アジアは同17%増、東アジア・豪州は同5%増、中南米・カナダは同16%増でした。このうち、2019年比で増加しているのは、EUと東欧のみです。東アジアは横ばいでした。

EUではデンマークやイタリア、スペインが好調だったようです。中東・アフリカが大きく減少しているのは、サウジアラビアでのたばこ税の増税が行われたことが要因のようです。これが一株利益を14セント押し下げている要因です。

フィリップ・モリスは紙巻たばこの販売を縮小し、アイコスなど加熱式たばこや非ニコチン製品を強化しようとしています。第2四半期では、紙巻たばこの出荷量は1561億ユニット(前年同期比3%増)、加熱式たばこ243億ユニット(同30%増)でした。

【PM】2Q種類別出荷数の推移

加熱式たばこが増えていることは良いのですが、フィリップ・モリスの思惑とは裏腹に、紙巻たばこの出荷量も増えてしまっています。

株主としては微妙な気分ですね。加熱式たばこを増やして行きたいというフィリップ・モリスの方針に賛同しつつも、その過程においては紙巻たばこ販売減少が、会社の業績与えるインパクトが大きいからです。

また、フィリップ・モリスの第1~2四半期の営業キャッシュフローは40.6億ドルで、前年同期比で34%増加しました。現時点では投資キャッシュフローがいくらだったか公表されていないため、フリーキャッシュフローは計算できません。

ただ営業キャッシュフローマージンは2019年の22%から、26%へと上昇しましたので、キャッシュをしっかりと稼げていることは分かります。10Kが公表されたら、詳しく分析できると思います。

通期の見通しについてですが、財務報告ベースの一株利益を4月20日に公表したものから、下限5.76~上限5.86ドルへと引き下げを行いました。これは先ほどのサウジアラビアのたばこ税に関するコストを計上したことなどによります。

一方で、調整後一株利益は下限5.97~上限6.07ドルへとわずかに引き上げ、為替影響を除いたベースでの一株利益は下限5.79~上限5.89ドルと、4セントほど引き上げました。オーガニックの成長率は12%~14%としました。

前年比では2ケタ増と良い決算のように見えましたが、パンデミック前と比較するとまだまだといった感じの内容で、しかも通期見通しに一部引き下げがあったことなどから、20日のフィリップ・モリスの株価は3%の急落となりました。

【PM】チャート

100ドル近くまで上昇していた株価に冷や水を浴びせましたが、これでたばこ株が終わったわけでもないですので、配当狙いの投資家は、ここが押し目買いのチャンスだと思って投資するのが良いと思います。


楽しい投資生活を。
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2020-06-18