こんにちは。時短父さんです。

本日2本目の決算情報です。米決済大手ビザ(V)が2021年1-3月期の決算(ビザにとっては2021会計年度第2四半期)を発表しました。内容は減収減益でしたが、自社株買いが奏功して、一株利益は横ばいを維持しました。それを好感してか時間外で株価は上昇しています。

四半期の売上高は57.2億ドルで、前年同期比2%減少しました。コロナ禍において海外旅行が大幅に減少したことなどを受け、国境をまたぐ取引量が11%減少したことが要因です。

営業利益は35.8億ドルで、同9%減少しました。営業利益が前年同期を下回るのは4四半期連続となりました。営業利益率は63%と、依然として高位を維持しているものの、前年同期比では4ポイント低下しました。

これを受けて純利益は30.2億ドルとなり、前年同期比2%減少しました。純利益も4四半期連続での減少です。ただ減少率は徐々に縮小しています。

売上高も純利益も減少しましたが、希薄化後の一株利益は1.38ドルと、前年同期と変わりありませんでした。
【V】2Q業績推移

純利益が2%減っているのに、一株利益が減らなかったのはどうでしてでしょうか?それは、ビザがコロナ禍でも自社株買いを進めており、市場に出回るビザ株の数量を減らしていきているからです。

一株利益は、純利益÷発行済み株式数で算出されます。分子(純利益)が減っても、分母(株式数)も減っていれば、一株利益は変わりませんね。損益計算書を見ると、この3ヵ月間の発行済み株式数は2,193百万株でした。一年前は2,228百万株でしたので、1.5%ほど減らしています。

またキャッシュフロー計算書(6ヵ月間)では、自社株買いに35.0億ドルも使っているのが分かります。これは一年前の55.0億ドルよりは少なくなっていますが、それでも大きな規模です。

ビザは事前に売上高・純利益が減少するのは予想していたはずなので、自社株買いを進めることで一株利益だけは減少を免れようと経営が判断したのでしょう。お陰で、一株利益だけは4四半期連続の減少を回避できました。

キャッシュフローの話が出たので、ついでに書くと、6ヵ月間累積の営業キャッシュフローは68.4億ドル(前年同期比28%増)、事業継続に必要な投資支出は3.1億ドル(22%減)でしたので、フリーキャッシュフローは65.2億ドルでした。

先ほど営業利益率が4ポイント下がったと書きましたが、キャッシュフローマージンは60%と、一年前に比べて大きく上昇しています。キャッシュを稼ぐ力は全く衰えていないことが分かります。

【V】2Q(累積)CF推移

さてこの6ヵ月間でビザは株主に配当を14.0億ドル支払ってきました。自社株買いによって株主還元をする方針がはっきりしていますが、それでも配当を払ってくれます。キャッシュフローベースの配当性向は21.5%で、前年同期の27.1%から減少しており、配当は全くもって安全です。

決算内容を好感してか、ビザの株価は時間外取引で上昇しています。28日の取引ではおそらく最高値を更新してくると思われます。

【V】株価

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