こんにちは。時短父さんです。

配当株投資家にとって、保有株の、もしくは取得しようと考えている株の配当安全性はとても気になるところです。といういうか気にしないとまずいと思います。買ってすぐに配当を減らされたり、配当がなくなったりといった悲劇が起きかねないからです。

配当の安全性=配当がしっかり支払われるだろうという見通し、と言っていいと思いますが、この配当の安全性を測る指標が配当性向です。配当性向という用語自体は聞いたことありますよね。どんな初心者向けの投資本にも必ず出てくる用語の一つですから。

でもこの配当性向、実は2つの意味・算出方法があるのです。普通、一つの答えを出すためのやり方は一つです。例えば、財務状況の安全性を見る流動比率は、流動資産÷流動負債×100です。株式が利益に対してどれだけ高く買われているかを見る株価収益率(PER)は、株価÷一株利益です。

配当性向も通常はこうです。

(一株)配当÷(一株)利益×100

投資の教科書にはこれで載っていますよね。他にも、日本取引所グループのサイトでも「配当性向とは会社が税引後の利益である当期純利益のうち、どれだけを配当金の支払いに向けたかを示す指標」と記載がありますし、日本証券業協会の用語解説でも、配当性向は「当期純利益に占める年間の配当金の割合を示す指標」と書いてあります。

そう分母は利益なのです。利益が100あって、配当を50支払ったら、配当性向は50%です。

ただこれは本当に企業の真の姿を現しているのでしょうか?利益は損益計算書上の数値に過ぎません。誤解を恐れずに言えば、経営者が費用項目に入れたいもの、入れたくないものを、その一存で簡単に変わってしまうような数値です。

上記の定義は最終利益(純利益)と書いてありますが、一株利益に直した時に、基本的な一株利益か、希薄化後の一株利益か、もしくは調整後の希薄化後利益か、これだけで3つも分母があるのです。

それに配当は利益から支払うのではないです。配当は現金を使って支払います。そりゃそうですね。あなたが配当を受け取った時、それはポートフォリオの現金が増えるのであって、利益が増えるわけではないですね。

ということで、2つ目の配当性向がここで出てきます。配当性向はキャッシュフロー、特にフリーキャッシュフローで見るという視点です。

Oxfordクラブのチーフ・インカム・ストラテジストのマーク・リクテンフェルド氏は、「「利益」には「減価償却費」が含まれていますが、これは非現金項目であるため配当を支払うことはできません。だから、配当に関してはフリー・キャッシュフローが重要」だと説明しています。

私はこれに賛成しています。という私もこれまで利益で見ていましたが。そうですよね、配当は現金で払われるわけですから、投資先企業のなかにどれだけ自由に使える現金があるかをしっかり見ておかないといけないのは、当然といえば当然のことです。基本的に現金の出し入れは嘘をつきません(損益はたまに嘘つきます)。

じゃ、どうやってフリーキャッシュフローを見るの?ということですが、これは連結キャッシュフロー計算書(Consolidated Statements of Cash Flows)を見ます。

この中の営業活動によるキャッシュフロー(Net Cash Provided by Operating Activities)から事業継続に必要な投資キャッシュフロー(Capital expenditures)を差し引いて、フリーキャッシュフローを算出します。
※これまで時短父さんのブログでは、投資キャッシュフローにはNet Cash Used in Investing Activitiesを用いていましたが、これはこれで(巨額買収の状況がわかるなど)メリットがありましたが、今後はCapital expendituresを使用しようと思います。

次に財務キャッシュフロー(Financing Activities)項目の配当支額(Dividends paid)を、このフリーキャッシュフローで割ってやればいいのです。

有名な配当株であるAT&T(T)で言えば、2020年の営業キャッシュフローは431.3億ドル、投資キャッシュフロー(Capital expenditures)は156.7億ドルでしたから、フリーキャッシュフローは274.5億ドル
となります。配当支払額は149.5億ドルでしたので、149.5÷274.5×100=配当性向は54.5%となります。

どうでしょう?意外とフリーキャッシュフローを使った配当性向も難しくないでしょ?

まぁ、利益の配当性向とキャッシュフローの配当性向を両方をうまく使って、分析をしていけば、それこそ安全性は高まりますね。

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「年100回配当」投資術ー日本人が知らない秘密の収入源
マーク リクテンフェルド
APJ Media
2020-06-18