こんにちは。時短父さんです。

米通信大手のAT&T(T)は2020年10-12月期の四半期決算で139億ドルの大赤字になったと発表しました。139億ドルって、1兆4000億円です!!前四半期は27億ドルの黒字だったのにいきなりどうしてしまったのでしょう?

主な数字を拾ってみます。売上高は456.9億ドルで前年同期比2.4%減少、営業損失は107.4億ドルで同301%減少、純損失は139.3億ドルで同682%減少です。売上高が456億ドルもあったのに、営業損益で107億ドルの赤字とは、、、。
【T】4Q業績推移


また通期では、売上高1717億ドル(前年比5.2%減)、営業利益は64.0億ドル(同77.1%減)だったものの、純損益は53.6億ドルの赤字となりました。希薄化後の一株損失は0.75ドルでした(前年は1.89ドルの利益)。

第3四半期までは累積で85億ドルも純利益を確保していたのに、これが全て吹き飛んでしまいました。一体何が起きたのでしょう?

答えは、あれです。

そう減損処理です。AT&Tは第4四半期に163億ドルもの減損損失を計上したのです。何に対して減損処理したかはもうお分かりですね。衛星放送「ディレクTV」を含むプレミアムテレビ事業で155億ドルの評価損を、ワーナーメディア部門でも7.8億ドルの評価損を計上したのです。

昨今有料放送のディレクTVはストリーミングサービスに押され気味で契約数が減少していました。またコロナ禍で映画館へ足を運ぶ人も減ったことを反映しました。

なのに、決算発表後のAT&Tの株価は思ったほど下落しませんでした。27日の終値は前日比2%安で留まりました。取引時間中は一時前日比を上回ってもいました。

これは何故でしょう?

投資家がAT&Tの決算内容に悲観していないからだと思います。
理由は、今回の減益は減損処理によるものだからです。減損処理は現金の流出を伴いません。単純に資産の評価額(将来の見込み収益)を減らし、費用化しただけです。なので、今回の決算の見た目は非常に悪いですが、これは一時的な現象に過ぎません。

実際、減損処理の影響などを除いた四半期の調整後一株利益は0.75ドルと、プラスを確保しました(ただ前年同期は0.89ドルでしたが)。しかもこれは通期の市場予想0.73ドルをわずかに上回りました。一株利益も3.18ドルでした(前年3.57ドル)。

というか、市場予想0.73ドルだったということは、市場関係者も前々から減損損失の計上を想定していたということでしょう。

そしてもう一つ、ひとまず安心していいのがキャッシュフローです。通期の営業キャッシュフローは431億ドルを確保し(前年比11%減)、投資キャッシュフローは135億ドルに抑え(同18%減)、フリーキャッシュフローは295億ドル(同7%減)としました。
【T】通期CF推移

AT&Tは2020年一年間で149億ドルの配当を株主に支払いました。よってフリーキャッシュフローに対する配当性向は50%となっています。AT&Tの株主にとって、一番の関心は配当がどうなるか?だと思いますが、これはおそらく問題ない範囲でしょう。

またAT&Tは2021年に20年と同水準の調整後一株利益を予想しており、利益成長はおまり見込めませんが、フリーキャッシュフローは260億ドル程度、配当性向は50%台を見込んでいるので、今後も配当の支払いが滞ることはないと見ています。このあたりの詳しい分析は後日やってみたいと思います。

今日もポチをお願いします。
↓↓
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ

「年100回配当」投資術ー日本人が知らない秘密の収入源
マーク リクテンフェルド
APJ Media
2020-06-18