こんにちは。時短父さんです。

国内航空大手のANAを傘下に持つANAホールディングス(9202、以下ANA)が、2,000億円規模の公募増資を検討していると、25日の日経新聞電子版が伝えました。

それによると、これまで銀行から1兆円以上の借り入れや融資枠の確保をしているものの、今年度は6,000億円程度の赤字になる可能性もあることから、財務基盤を確保(自己資本比率を維持)するために普通株による公募増資を検討している模様です。

公募増資とは、企業が株式を新たに発行して、市場から広く資金を調達することですね。

この報道に対し、ANAはすぐにこれを否定しました。同日に発行された文書によれば、

「本日、日本経済新聞電子版等の一部報道につきまして、当社の公募増資に関する報道がなされており ますが、当社が発表したものではございません。 資金調達については、様々な手段を従来より検討しておりますが、現時点で決定した事実はございません」

としています。

まぁ、話がなければ漏れ出てくることもないでしょうから、検討はしているんでしょうね。経営としては当然のことでしょう。

しかし、既存の株主・投資家にとってみれば、増資は良いとは限りません。

増資は市場に流通する株式数の増加を意味します。株価も需給関係の要素を含んで成立しますから、当然に株価には下押し要因です。モノが多くて、欲しい人が少なければ、価格が下がるのは自然なことですね。

もう少しだけ理詰めで見てみましょう。

現在ANAの発行済み株式数(普通株)は3億4,849万株です。ちなみに17年1月に10→1併合をして約35億株から約3.5億株に減らしていました。また18年3月には315万株ほど消却しています。

で、9月25日の株価終値は2,700円でした。よって時価総額は約9409億円です。

株価

報道のあった2,000億円を一株あたり2,700円で売り出した場合、約7407万株になります。つまり7407万株が市場に新たに流通することになります。

これは現在の発行済み株数3億4,849万株の21%にあたり、株数は4億2256万株に増えます。

一般的に、純利益が同じ額であれば株数が多ければ多いほど、一株あたりの利益は減少します。これを株式の「希薄化」と言いますね。

株価=株価収益率(期待値みたいなもの)×一株利益

で表されますので、増加した株数分下落するのです。理論的には2,700円の21%減なので、2,133円程度まで下落するのは不可避です。


今は2,700円で売れた場合を想定しました。しかし、市場関係者は当然に希薄化を意識して、株価下落を予想します。そうすると、そもそも2,700円では売れない。もっと安くしないと売れないのです。下手したら2,000円を割るでしょう。

増資報道が真実となるとは限りませんが、週明けは恐らく株価急落が待っています。


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