こんにちは。時短父さんです。

たばこ大手のフィリップ・モリスインターナショナル(PM)は、10月支払分の四半期配当を2.6%増配し、年間配当額4.80ドル(四半期1.20ドル)とすることを発表しました。これまでの四半期配当額は1.17ドルでした。

権利落ち日は9月23日、支払日は10月13日です。

【PM】配当推移

前回の増配は2019年10月に行われ、四半期の増配額は0.30ドルでした。今回も増配額は0.30ドルで同額ですが、増配率で見ると、前回は3.8%だったのに対し、今回は2.6%と減少しています。

ご存知のようにフィリップ・モリスは2008年にアルトリア・グループからスピンオフしたたばこメーカーで、米国以外のたばこ事業を担っています。それ以来、同社は株主への配当を連続して増やし続けており、連続増配は13年目へと突入することになります。

それを支えているのは、同社の安定的な収益力とキャッシュフローであることは言うまでもありません。フリーキャッシュフローは常にプラスで推移しており、営業CFマージンは30%を超えています。事業継続のために、投資がほとんどかからないというのは本当に大きいです。
【PM】CF推移

また現在の配当利回りは5%を超えていて、高配当株でありながら、増配を続けています。しかも、フィリップ・モリスは米国内の税制上かなり有利な銘柄で、配当金にほとんど税金が課されません。インカム投資家にとっては、バラ色の銘柄のように映ります。

ただ連続増配と聞くと、聞こえはいいのですが、ちょっと心配なことがあるのです。
それはフリーキャッシュフローが配当支払額の増額に耐えられるか?ということです。下のグラフを見て下さい。通期のフリーキャッシュフローと配当の支払総額を比較したものです。

【PM】通期フリーCFと配当支払総額の推移

これを見ると、2012年頃まではフリーキャッシュフローと配当総額に差(余裕)がありましたが、徐々に狭まっているのが分かりますね。一時的ではありますが、2017年には遂に支払総額が上回りました。自由に使えるキャッシュ額以上を配当支払に回してしまったことを意味します。

そして今回2.6%の増配を決めたということで、配当総額の赤のグラフは更に伸びます。まぁ、フリーキャッシュフローもそれに合わせて伸びればまだいいのですが、このご時世でそれはなかなか期待できません。

事実、2020年1-6月期のフリーキャッシュフローは29億ドルで、前年同期に比べて1.1%減少しました。コロナ禍で営業CFが35%減少したことが響いたからです。投資CFも92%落として、なんとかフリーCFを確保したのです。そして、同期間の配当支払額は36.5億ドル・・・すでに配当が上回っています。
【PM】2Q累積キャッシュフロー推移

配当支払額が伸び続けるには、原則的にはフリーCFの伸びもそれに続く必要がある訳ですが、これからのフィリップ・モリスにそれができるのか、よく注視していく必要はありそうです。


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