こんにちは。時短父さんです。

ヘルスケア大手のジョンソン&ジョンソンは19日、バイオテクノロジー企業のモメンタ・ファーマシューティカルズ(MNTA)を65億ドル(約6890億円)で買収すると発表しました。

すごいですね。コロナ禍で世界経済がどうなるか分からないって時に大規模な買収ができるなんて、本当に驚きです。6890億円もあれば、コロナ禍で苦しんでいる企業をたくさん救えそうですが・・・

モメンタ・ファーマは腫瘍や自己免疫疾患の薬・バイオシミラー・治療薬の開発に注力しています。その主力ともいえる「ニポカリマブ」は重症筋無力症などの自己免疫疾患の治療薬で、ジョンソン&ジョンソンは買収により、承認と販売を目指すことになります。

自己免疫疾患とは、本来ならば体内に入ってきた異物を認識・排除するための役割を持つ免疫系が、何らかの原因により、自身の細胞やタンパク質を異物と認識して攻撃してしまうことで症状を起こす疾患の総称です。

ジョンソン&ジョンソンによれば、世界人口の約2.5%はこの疾患を持っているとのこと。世界の人口約77億人のうち、約1.95億人が自己免疫に関わる疾患を患っていることになります。製薬会社側からすればそれだけの市場が広がっているように映ります。

正直言って、医薬品関連のことに疎い私としては、この買収がジョンソン&ジョンソンにどれだけの効果をもたらすのか、良く読めません。しかし、約2億人近い患者に朗報になることを願うだけです。

とは言っても、6890億円ですからね。バカにならない額です。本当に買収の価値があるのか、株主として見ておく必要もあります。

モメンタ・ファーマの買収は、一株あたり52.50ドルの買収価格で、すべて現金で公開買い付けされます。これまで同社の株価はだいたい30ドル前後で推移していました。18日の終値は30.81ドル。つまりジョンソン&ジョンソンは市場が評価している価格の70%も高く評価して、モメンタ・ファーマを買収しようとしているのです。

実際、19日の取引では買収合意の発表を受けて、モメンタ・ファーマ株は52.12ドルまで69%も上昇しました。

モメンタ・ファーマの過去5年間の業績を見てみると、売上高は17年までは増加していましたが、ここ2年間は連続して減収となっています。純損益も5年連続で赤字。しかも赤字幅を拡大させています。当然のことながら、フリーキャッシュフローもマイナス続きでした。
MNTA 業績サマリー
(楽天証券サイトより抜粋)

これらを見る限りでは、ジョンソン&ジョンソンにメリットは少ないように感じてしまいますね。それもそのはずで、主力となる「ニポカリマブ」の規制当局からの承認はこれからのようで、これが進めば、利益貢献してくれることでしょう。

買収によるジョンソン&ジョンソンへの財務・業績への影響ですが、買収額約65億ドルというのは、19年の年間フリーキャッシュフローの37%にあたります。配当総額は99億ドル(57%)でした。そう考えると、そこまでの規模ではないと感じます。

またジョンソン&ジョンソンは、2020年通期の一株当たり利益のガイダンスを維持すると表明しています。しかし買収コストは今後数年に渡り、研究開発費に計上されるそうで、そうなると2021年の一株当たり利益を0.10ドル~0.15ドル押し下げることになりそうです。

市場も、今回の買収発表でジョンソン&ジョンソンにマイナスの評価を出してはいません。株価はほとんど動きませんでした。同社の持つ強固なキャッシュフローと、バランスの取れた事業ポートフォリオがあれば、65億ドルの買収は気にするほどのこともないということでしょうか?買収効果がどのように発揮されるのか、注目してみたいと思います。


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