こんにちは。時短父さんです。

米食品大手のクラフト・ハインツ(KHC)は2020年第2四半期の業績を発表しました。内容はまちまちだったものの、前向きに捉えて良いものでした。減損処理が響き16.5億ドルの純損失となった一方で、売上高は増加、調整後EBITDAも増加、キャッシュフローは大幅に改善されました。


四半期の売上高は66.4億ドルで、前年比3.8%増加しました。パンデミックによる外出制限、在宅消費の促進で同社の手掛ける加工食品類は追い風を受けました。売上高が前年同期比を上回るのは2四半期連続です。

しかし13.3億ドルの営業損失でした。何故か?
無形固定資産とのれん代に減損処理を行ったからです。その額合計で29億ドルです。無形固定資産では、8.1億ドルをカナダの小売り事業に、8.5億ドルを米国やカナダでのレストランなどへのフードサービス事業に計上しました。のれん代では、6.2億ドルをホットドックなどの「オスカーメイヤー」ブランド、1.4億ドルをコーヒーの「マックスウエル」ブランド、2.9億ドルをその他7ブランドに計上しました。

そのため最終損失が16.5億ドルとなり、四半期の赤字は2018年第4四半期以来のことです。あの時は150億ドル以上の減損処理が行われ、125億ドルの純損失でした。それに比べてれば、まだかわいいものと言えます。

よって希薄化後の一株損益は1.35ドルの赤字となりました。しかし、減損処理等の一時項目を除く調整後の一株利益は0.80ドルの黒字を確保し、前年同期より増加しました。しかもこちらは市場予想0.63ドルを上回りました

【KHC】2Q業績推移


セグメント別では・・・
売上高の約70%を占める米国内で売上高が8.5%増加し、全社の増加に寄与しました。カナダ事業は前年にチーズ事業を切り離した関係で、24%減少となりました。カナダを除くその他海外事業は既存事業で5.5%増加となったものの、為替によるマイナスの影響を受けて2.2%の減少となりました。

【KHC】2Qセグメント別売上高推移

全体では営業損失となりましたが、特に悲観する必要はないと思っています。何故なら、それはキャッシュアウトを伴わない減損処理が要因だったからです。確かに、減損処理をするということは、保有する資産が将来的にキャッシュインを生まないだろうと想定していることを意味します。ただこの状況では減損は仕方ないことです。ニューヨークなど主要都市で、店内の飲食ができない状況を考えると、フードサービス事業はダメージが大きいと予想できます。

キャッシュアウトが伴わなければ、表面的な赤字で済みます。実際、調整後EBITDA(税引き・償却前利益)は17.9億ドルの黒字となり、前年比で12.4%増加しました。四半期の調整後EBITDAが前年同期比で増加するのは、ここ2~3年で初めてのことです。

またキャッシュフローも大きく改善しました。
6ヵ月間の累積ベースで営業キャッシュフローは22億ドルとなり、67%増加しました。赤字なのに、22億ドルのキャッシュは会社に流れ込んだということです。営業キャッシュフローマージンは17.3%となり、7ポイント程度も改善しました。
【KHC】2Q(累積) CF推移

投資キャッシュフローは2.3億ドルで、十分に抑制されています。クラフト・ハインツには、もうどこかを買収する余裕はないですから(笑)

よってフリーキャッシュフローは19億ドルを確保しました。同期間でクラフト・ハインツは9.7億ドルの配当を支払っていますが、現時点では十分に余裕のある状態となっています。

フリーキャッシュフローの改善と配当支払の抑制で、現金保有額もやや増加していて、昨年末から約4億ドル現金残高が増えています。

株主として気になるのは配当ですね。クラフト・ハインツは決算発表と同日に、9月支払分の四半期配当を0.40ドルとすると発表しました。増減はありません。ちょっと残念ですが、増配はまだ早いですね。本業を通じたキャッシュインの傾向が継続的なものとなれば、増配発表も近いのではと思います。

今回の決算は、先んじて赤字を出したと言ってもいい。のれん代や無形固定資産の減少により、資産規模を少しでも軽くして、機動的になるためだったとも言えます。赤字に怯えてはいけません。売上高は増加しました。EBIDTAは増加しました。営業CFもフリーCFも増加しました。現金残高も増えてきています。

現在のクラフト・ハインツは、1年前の彼らとは違います。明らかに変わってきています。投資家は自信を持っていいと私は思いますよ。


今日もポチっとお願いします。
↓↓
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ