こんにちは。時短父さんです。
国内航空大手のANAホールディングス(以下、ANA)は29日、2020年4-6月期の四半期決算を発表しました。内容は四半期決算としては過去最悪の損失を叩き出しました。
簡単に振り返ると・・・
売上高は1216億円(前年比75%減)、営業損失1590億円(前年161億円の黒字)、純損失1088億円(同114億円の黒字)でした。売上高は1/4に減り、売上高より大きい営業損失を抱え、2四半期連続で最終赤字となり、初めて最終損失として1000億円を超えました。

(ANAHD決算資料より抜粋)
しかし、そんなことは昨今の航空業界を取り巻く状況を見れば、予想できたこと。特に驚くべきことではありません。それでもよく1200億円も売上高があったと思います。主力の航空事業が78%減収だったのに比べて、地上支援業務を外部から受託などしている航空関連事業は19%減収に留まったこと(しかも営業利益8億円)が、グループの業績を下支えしました。
さて、世間は損益計算書の1000億円赤字に驚くでしょうが、問題は今の状況を乗りきれるだけの手元資金です。航空業界は人件費や航空機のリース費用などの固定費が莫大で、ANAは毎月1000億円のキャッシュアウトが起きているとのことでした。そのため、コロナ禍が本格化してから、ANAは各金融機関に借入の交渉を始め、すでに1兆円規模の借り入れ枠を確保したとアナウンスしていました。
その交渉によって、本当に手元資金は確保できていたのかを決算書類(バランスシートとキャッシュフロー計算書)で確認しておく必要があります。損益計算書の赤字云々より、会社の存続に関わりますからね。
まずはバランスシートの資産の部から。

現金及び預金は3月末は1094億円だったのに対して、6月末時点で5169億円と、4000億円ほど増えていますね。キャッシュアウトが毎月1000億円もある会社で、本業だけで3ヵ月間に4000億円も増やすのは
なかなか考えられませんね。
ではどうしたか?次に負債の部。

短期借入金は、3月末時点で4億円だったのに対し、6月末時点で1023億円に。長期借入金は4169億円から8253億円に。合計で約5000億円の借入金が増えていますね。
キャッシュフロー計算書(要約版)を見ても、財務活動によるキャッシュフロー(純額)は、5137億円のキャッシュインとなっていましたので、ほぼ当たりますね。
つまり、手元資金4000億円の増加分は、借入金5000億円で賄われたと推測できます。じゃ、差額の1000億円はどこに行った?たぶん、もう既にキャッシュアウトしてしまったと思われます・・・
ということは、このままではあと4ヵ月程度しか手元資金は持たないことになります。まずいじゃないか・・・だから先ほども書いたように、ANAは予め1兆円超(残り5000億円)の融資枠を確保しているのです。年度内は何とか持ちこたえられるようにしているのですね。
最後に余談ですが、ANAは人件費削減の施策として、グループ従業員約4.3万人に対して、一時帰休を取らせています。これにより政府から雇用調整助成金をもらうことができるからです。これもしっかり損益計算書に反映されていました。実に71億円も助成金を受け取っていました。一人当たり16.5万円です。
ANAの従業員一人ひとりは、政府(ひいては国民)から16.5万円を受けて、生きながらえていることを自覚しながら、安全運航に取り組んでもらいたいと思います。
今日もポチっとお願いします。
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国内航空大手のANAホールディングス(以下、ANA)は29日、2020年4-6月期の四半期決算を発表しました。内容は四半期決算としては過去最悪の損失を叩き出しました。
簡単に振り返ると・・・
売上高は1216億円(前年比75%減)、営業損失1590億円(前年161億円の黒字)、純損失1088億円(同114億円の黒字)でした。売上高は1/4に減り、売上高より大きい営業損失を抱え、2四半期連続で最終赤字となり、初めて最終損失として1000億円を超えました。

(ANAHD決算資料より抜粋)
しかし、そんなことは昨今の航空業界を取り巻く状況を見れば、予想できたこと。特に驚くべきことではありません。それでもよく1200億円も売上高があったと思います。主力の航空事業が78%減収だったのに比べて、地上支援業務を外部から受託などしている航空関連事業は19%減収に留まったこと(しかも営業利益8億円)が、グループの業績を下支えしました。
さて、世間は損益計算書の1000億円赤字に驚くでしょうが、問題は今の状況を乗りきれるだけの手元資金です。航空業界は人件費や航空機のリース費用などの固定費が莫大で、ANAは毎月1000億円のキャッシュアウトが起きているとのことでした。そのため、コロナ禍が本格化してから、ANAは各金融機関に借入の交渉を始め、すでに1兆円規模の借り入れ枠を確保したとアナウンスしていました。
その交渉によって、本当に手元資金は確保できていたのかを決算書類(バランスシートとキャッシュフロー計算書)で確認しておく必要があります。損益計算書の赤字云々より、会社の存続に関わりますからね。
まずはバランスシートの資産の部から。

現金及び預金は3月末は1094億円だったのに対して、6月末時点で5169億円と、4000億円ほど増えていますね。キャッシュアウトが毎月1000億円もある会社で、本業だけで3ヵ月間に4000億円も増やすのは
なかなか考えられませんね。
ではどうしたか?次に負債の部。

短期借入金は、3月末時点で4億円だったのに対し、6月末時点で1023億円に。長期借入金は4169億円から8253億円に。合計で約5000億円の借入金が増えていますね。
キャッシュフロー計算書(要約版)を見ても、財務活動によるキャッシュフロー(純額)は、5137億円のキャッシュインとなっていましたので、ほぼ当たりますね。
つまり、手元資金4000億円の増加分は、借入金5000億円で賄われたと推測できます。じゃ、差額の1000億円はどこに行った?たぶん、もう既にキャッシュアウトしてしまったと思われます・・・
ということは、このままではあと4ヵ月程度しか手元資金は持たないことになります。まずいじゃないか・・・だから先ほども書いたように、ANAは予め1兆円超(残り5000億円)の融資枠を確保しているのです。年度内は何とか持ちこたえられるようにしているのですね。
最後に余談ですが、ANAは人件費削減の施策として、グループ従業員約4.3万人に対して、一時帰休を取らせています。これにより政府から雇用調整助成金をもらうことができるからです。これもしっかり損益計算書に反映されていました。実に71億円も助成金を受け取っていました。一人当たり16.5万円です。
ANAの従業員一人ひとりは、政府(ひいては国民)から16.5万円を受けて、生きながらえていることを自覚しながら、安全運航に取り組んでもらいたいと思います。
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