こんにちは。時短父さんです。

米コングロマリットの3M(MMM)が2020年第2四半期の決算を発表しました。その内容は12%の減収に加えて、売上高と利益で市場予想を下回る残念なものでした。

売上高は71.7億ドルでした。これは前年比で12.2%の減少です・・・市場予想は73.2億ドルでした。さすがにまずい。2012年以降の四半期決算で、2桁の減収は初めてで、かつ71億ドルというのは最低水準です。ちなみに19年2Qは81.7億ドルの売上高があったので、10億ドル(約1050億円)も吹き飛んでしまいました。

【MMM】四半期業績の推移

営業利益は17.4億ドルで、前年比2.2%増加しました。増加です。何で12%も減収となっているのに、営業利益が増加したのか?発表資料を見る限り、ドラッグデリバリー事業売却の3.8億ドルを含む10億ドルの営業費用の削減を実施したからです。

純利益は12.9億ドルで、前年比14.5%増加しました。これも増加です。営業利益が増加したことに加えて、その他費用が1.1億ドルに減少(前年2.5億ドル)したことが要因です。

これにより一株あたりの利益は、報告ベースで2.22ドルとなりました。前年比15.6%増です。ただし、事業売却があり、利益が押し上げられていますので、これを調整する必要があります。調整後の一株利益は1.78ドルで(前年2.20ドル)で、市場予想1.80ドルを下回りました。

2Q業績推移

地域別の売上高の増減率では・・・
米州圏は12.7%減少、アジア太平洋は8.5%減少、欧州・中東・アフリカは16.4%減少でした。3Mの売上高3割を占める中国を含むアジア太平洋が1桁の減少に留まったのは、個人的には前向きに捉えて良いのかなと思います。

部門別では・・・ちょっと明暗が分かれました。
安全・産業部門の売上高は26.6億ドル(前年比9.2%減)、営業利益は6.3億ドル(同1.7%減)でした。輸送・電子部門の売上高は19.3億ドル(同20.9%減)、営業利益は(同35.4%減)でした。パンデミックによって世界経済に相当なインパクトを与えていて、防護フィルムや自動車用接着剤など広範な製品に打撃となりました。

ヘルスケア部門と消費者部門はまずまずの結果でした。前者の売上高は18.2億ドル(同0.3%減)、営業利益は(同36.6%減)でした。後者の売上高は12.3億ドル(同6.2%減)、営業利益は2.8億ドル(同5.1%)でした。「N95」マスク需要急増で、売上高を下支えしたものの、設備投資等の生産の費用が増加したため、利益が減少したものと思われます。

2Qセグメント別売上高

第2四半期までの累積のキャッシュフローは好調でした。
営業キャッシュフローは31.8億ドルで15%増加しましたし、投資キャッシュフローは事業売却のお陰でプラスとなりました。よってフリーキャッシュフローは前年比1.2倍に増加しました。営業キャッシュフローマージンは20%に上昇しました。
2QCF推移

フリーキャッシュフロー33億ドル(調整後では24.7億ドル)に対して、同期間の配当支払総額は17億ドルとなっており、3Mが株主への還元姿勢が改まることはまだなさそうです。

さて、3Mは2020年通期の業績見通しの発表を行いませんでした。世界経済の先行き不透明感が拭えないからです。感染拡大がどうなるか、収束の目途も立ちませんからね。引き続き、月次での業績報告は続けて行き、投資家に情報を提供して行くことは約束しています。

12%の大幅減収に加えて、市場予想に届かなかったこと、業績見通しが引き続き出されなかったことを受けて、決算発表後の取引では3M株は4.8%の下落となりました。なかなか厳しいですね。さらにパンデミックだけでなく、また米中の政治問題が勃発しています。中国依存度が高い3Mだけに、やや無視できない事態です。

でも私は3Mが好きです。高配当・連続増配というだけでなく、「N95」に関する徹底した不正販売・不良品販売の取り締まりへの姿勢に好感を持ちます。不正販売業者からの和解金を、特別利益にでも計上したら、少しは自社・株主に恩恵が来るのでは?と思いますが、そんなことはせず、医療関係者へ全額寄付しています。

真面目な企業は報われてほしいし、応援したい。私は今後も3Mの株主でいようと思います。


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