こんにちは。時短父さんです。

数ある連続増配株のなかで最も長期間に渡りそれを維持している米国企業があります。米国株投資家ならもうご存知かと思いますが、アメリカン・ステーツ・ウォーター(AWR)という会社です。その連続増配年数は、実に65年に及びます。

同社は、カリフォルニア州を中心にして、水道事業と電力事業を行っている事業会社を持つ持株会社です。9つの州にまたがる100万人の顧客に水を提供し、一部には電力を供給しています。

創業1929年と歴史ある会社でもありますね。

さて、このアメリカン・ステーツ・ウォーターが何故こんなにも長期に渡り増配を繰り返すことができるのか疑問に思う方もいるでしょう。今回はキャッシュフローの観点からその理由を探ってみたいと思います。

通常、安定した営業キャッシュフローに加え、かなり抑制された投資支出により、十分なフリーキャッシュフローがあることが、連続増配を可能にする条件でもあります。

例えば、日用品大手のプロクター&ギャンブル(PG)です。連続増配年数は64年で、アメリカン・ステーツ・ウォーターに迫ります。そのP&Gのキャッシュフローは以下のようになっています。

【PG】通期CF推移

営業CF(青)に対して、投資CF(赤)が十分に抑制されており、その差引であるフリーCF(緑)が、すべて上を向いて(プラスになって)います。フリーCFがあるということは、それだけ自由に使えるキャッシュがあることを意味し、配当の原資にもなります。

小売りの巨人ウォルマート(WMT)も45年間連続増配を維持しています。

WMT CF

投資支出は毎年ほぼ一定で、営業CFが伸びれば、その分フリーCFも増加する関係となっています。

それらに対して、アメリカン・ステーツ・ウォーターはというと・・・

AWR

あれっ??

営業CFは何だか不安定だし、投資支出もかなり多いですね。営業CFが不安定ですが、まだプラスなので良しとしましょう。

しかし投資支出が大きくて、フリーCFがほぼ残らないか、マイナスになっている年がほとんどです。

投資支出が大きい理由は、事業の特性によりますね。水道事業では水道管やその他の設備の維持管理に莫大なキャッシュが掛かるからです。消費者に安心して水を利用してもらうには、そういったインフラに費用を掛ける必要があります。

いや、それでも65年間も増配を続けてきたにしては、脆弱過ぎるキャッシュフローではないですか?手元に自由に使えるキャッシュがなくて、どうやって配当を支払ってきたのでしょう?

その答えは、もう一つのキャッシュフロー項目である、財務キャッシュフローにあります。財務CFの純収支を上のグラフに加えてみると、下のようになります。

AWR

フリーCF(緑)が下を向いている年は、財務CF(紫)が上を向いていますよね。おそらくですが、フリーCFが不足する年は、外部からの借り入れによってキャッシュフローを調整している可能性があります。

逆にフリーCFが上を向いている都市は、財務CFが下を向いています。これは自由に使えるキャッシュがある時は、借入の返済を進めていると見て良い。

似たようなキャッシュフローの動きをしている水銘柄は他にもあります。

下はアメリカン・ウォーター・ワークス(AWK)のグラフ。
AWK

こちらもフリーCFのマイナスを財務CFで賄っていますね。ただし、フリーCFを無視すれば、営業CFの成長が著しい銘柄です。

さらにはエッセンシャル・ユーティリティズ(WTRG、旧:アクア・アメリカ)のグラフ。
WTRG

エッセンシャル・ユーティリティズもフリーCFのマイナスを財務CFで賄っているのが分かります。

そうなんです。水関連銘柄は安定的な事業で、営業CFはほとんど文句ないのですが、その事業特性故に、投資支出が大きく、フリーCFが残りにくい。それを財務CFで補っている構造となっています。

アメリカン・ステーツ・ウォーターが65年間も増配を続けて来られたのは、財務CFのおかげでもあります。借入ができるだけ、そのビジネスに信用力がある証拠でもありますけどね。

連続増配株だからといって、全ての銘柄が十分なフリーCFがある訳ではないことが分かりましたね。フリーCFがマイナスでも継続できるビジネスなのかを見極めて投資することが大切です。


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