こんにちは。時短父さんです。
報道によると、日本航空(JAL)は全従業員に対して15万円程度の特別支援金を支給する方針を固めました。
特別支援金は在宅勤務が基本となる中、通信環境の整備費用としての意味合いや、「厳しい状況でも全社員と一緒に前に進みたいという経営陣の思い」(関係者)から給付が決まった模様です。
同社グループの約3万6千人のほぼ全員に支払われ、金額は職種などで異なりまが、1人当たり15万円程度で、総額は54億円程度になる見込みです。
日本航空は新型コロナの影響で20年1-3月期の営業損益が195億円の赤字となり、21年3月期の業績予想も「未定」としています。夏の賞与は半減(前年は2ヶ月分→今年は1ヶ月分)となる見込みのなか、従業員を鼓舞する意味とはいえ、無視できない額です。
いや、もしかしたら54億円は、日本航空にとっては無視できる額なのかもしれません。
同社の決算資料を見ると、20年3月末時点の現金残高は3291億円でした。20年3期の連結営業費用は1兆3110億円、航空運送事業の減価償却費1362億でした。
キャッシュフローベースで見たキャッシュアウトの額は1兆1748億円(+支払い利息6.5億円)となります。12ヶ月で割ったら、毎月約980億円の流出です。
一方ライバルのANAは毎月1226億円でした(筆者調べ)。ANAは年間の支払い利息だけで64億円と、JALの特別支援金を上回る額を払っているのです。
つまりJALはそれだけ身軽で、財務的にはまだ余裕がある証拠です。下は少し前の資料ですが、JALの負債は主要航空会社ではかなり少ないのです。20年3月末時点でのJALの有利子負債は1917億円、ANAはその4倍です。
既にご存知だと思いますが、10年前にJALは経営破たんした際に、巨額の負債を棒引きしてもらった経緯があります。これにより新規発着枠の確保は制限され、路線拡大は制限されました。機材も小型化が進みました。
今のJALがあるのは、稲盛和夫さんの手腕もあるし、一人ひとりの従業員が痛みに耐えたたからなのかもしれない。
しかし、それができたのは財務的に身軽になったからです。全ては巨額な負債が減ったから、成し得たことです。
JALは20年度のコスト削減策として、人件費や広報宣伝費など600億円規模を予定しています。にも関わらず、約54億円もの特別支援金を支給するのは、コスト削減とは逆を向いていると言わざるを得ません。
今回の特別支援金の支給は、今の日本航空にとっては財務的には余裕があるからできるのでしょう。しかし、人件費と負債の膨張が経営破たんの遠因だったとすれば、一般論としてですが、日本航空が再び株主を裏切る結果を招かないことを切に願うばかりです。
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