こんにちは。時短父さんです。
新型コロナにより大打撃を受けた業界の一つとして航空業界があります。各国によるの入国制限、外出自粛、ロックダウンで、人は移動することができなくなりました。
航空会社はヒトやモノを運ぶことを生業としており、移動その物がほぼなくったことで、首根っこを掴まれた状態になっています。
1-3月期の航空会社の収入は激減しました。米国大手4社の売上高は前年比16%〜20%減少し、純損失の合計は45億ドルになりました。日本の大手2社も四半期としては最大の赤字を計上していました。
4-6月期は更に厳しくなる見込みですし、航空需要の回復には数年を要するとのIATAの予測もあるくらいです。
そんな中、航空各社は費用削減のための人員削減を行っているか、その方針を示しています。
エミレーツ航空は3万人、ブリティッシュ・エアウェイズは1万2000人、スカンジナビア航空は5000人などとなっています。米国大手は、秋までは人員を維持することを条件に、政府からの支援を受けていますので、まだ大規模な削減発表はありません。それでもユナイテッド航空は、秋以降に管理職や事務職を3000人削減する方針です。

航空会社だけではありません。航空機が飛ばなければ、航空機の買い替え需要もなくなるので、航空機メーカーやエンジンメーカーも影響を受けます。これまでに、ボーイングが1万6000人削減、エアバスが1万人削減、GEアビエーションは1万3000人削減、ロールス・ロイスは9000人削減などとなっています。
企業の業績が悪化した時に、経営者はその立て直しを図るため、通常は費用の削減を試みます。まずは出血を止め、その後で輸血を試みますね。
何故航空会社が大規模な人員削減に踏み切るかと言えば、航空ビジネスは労働集約型で人件費が莫大だからです。航空機を飛ばすには、もの凄くたくさんヒトの手が掛かります。乗務員、地上スタッフ、コールセンター、整備士など。
例えば、デルタ航空の人件費は営業費用の30%を占め、サウスウェスト航空では42%に上ります(いずれも1-3月期)。だから人件費の削減は航空会社の業績立て直しには必要不可欠なのです。
ところが、航空会社で私が知る限り唯一「雇用を守る」と内外に明言した会社があります。ANA ホールディングスです。

同社の片野坂CEOは、先日NHKの取材を受け、改めてその考えを示しています。「(航空)は安全を守るビジネス。雇用ね不安を抱えて仕事をするのが一番よくない。まず社員に『雇用を守る』と(伝え)た」と話しました。
立派な考えだし、立派な経営姿勢だと思います。ただそれは従業員や労働組合からしたら、です。株主や投資家からすれば、人件費に手を付けられない弱気な経営者と見なされます。
あのIBMだって、数千人規模の人員削減を行いました。事業が傾いている時に、人員削減をするのは常套手段です。それで普通は評価されます。
無配を決め、今期も配当は未定としたにもかかわらず、人員削減に手を付けないANAの方針は、株主や投資家からはきっと受け入れ難いものでしょう。
コメント