こんにちは。時短父さんです。

アメリカでディスカウントストアといえば、小売り業界の巨人であるウォルマート(正式にはウォルマート・ストアズ)を思い浮かべる方も多いでしょう。ウォルマートは全米に約5300店舗(サムズクラブ含む)を構え、世界27か国で約6150店舗を展開しています。FY2020の年間売上高は5239億ドル(約56兆円!!)です。全世界の従業員数は、なんと220万人に上ります。

ウォルマートほど規模は大きくないものの、アメリカでよく見かけるディスカウントストアがあります。ターゲットです。赤い的(Bullseye)のブランドマークで良く知られていますね。店舗数は全米に1871店舗、人口の75%が16キロ圏内に住んでいるそう(ホームページより)。従業員数は35万人超です。こちらもかなりの規模ですね。最近はネット販売が成長しています。

さて、そんなウォルマート(WMT)とターゲット(TGT)はともに、小売り業界では連続増配株の筆頭となっています。連続増配年数は、ウォルマートは45年ですし、ターゲットは52年です。小売り業界というと、薄利多売のイメージがありますが、ここまで増配を続けてこられる理由は何なのでしょう?

今回はこの2銘柄をキャッシュフローの観点から分析してみたいと思います。

まず両銘柄のキャッシュフロー推移を見ていきましょう。以下に出てくる用語で、営業CFは、営業活動によるキャッシュフローを、投資支出は事業継続に必要なPayments for property and equipmentまたはExpenditure for property and equipment(事業買収・売却は含まず)を、フリーCFは営業CFから投資支出を引いたものを、それぞれ表しています。単位は百万ドルです。

最初はウォルマートの2009年から2019年(FY2020)の推移です。
営業CFは250億ドル前後となっています。近年は減少傾向にあるようですね。ネット通販会社に押されているからかもしれません。投資支出は100億ドル程度で、近年は比較的抑制されているようです。

WMT CF

次にターゲットです。
営業CFは、多い年と低くなる年で、少しバラつきがあるように感じます。規模としては、50億ドルから70億ドルといったところで、ウォルマートの1/5~1/4程度です。2011年はと2018年は支出が伸びていて、フリーCFを押し下げています。

TGT CF

では、両銘柄の指標を分析してみましょう。

①営業CFマージン
営業CFマージンは、売上高を営業CFで割って算出したもので、CFベースの営業利益みたいなものです。売上高のうちどれだけ効率よくキャッシュを稼げているかを示しています。

営業CFマージン

はっきりと分かれましたね。ウォルマートは平均で6%、中央値でも6%です。近年はやや減少傾向にあります。売上高は増加しているのに、営業CFが減少しているからです。一方ターゲットは平均で8%、中央値も8%です。両銘柄の差は2%ポイントです。営業CFの推移を見ると、ターゲットの方が効率よくキャッシュを稼いでいることが分かります。

ただ営業CFマージンが一桁というのは、これまで何度かお伝えしてきたキャッシュフロー分析では初めてです。コカ・コーラは平均で23%、ペプシコも15%ありました。石油メジャーのエクソンモービル(16%)やシェブロン(12%)と比べても、かなり低い水準です。薄利多売という表現は間違いではないようです。


②事業投資営業CF比率
事業投資営業CF比率は、事業継続に必要な投資支出を営業CFで割って算出します。本業で稼いだキャッシュのうちどのくらいを事業用の投資に回しているかを示します。この数値が高いから良いとか、低いから悪いとか言うものではありません。数値が高いと、事業継続に積極的だとも考えられますし、それだけ最低限の投資が必要とも考えられます。逆もしかり。難しいところではあります。

事業投資営業CF比率

ウォルマートの平均は45%、中央値は43%です。近年はやや緩やかに投資比率を増やしてきています。アマゾンなどに対抗するため、Eコマースへの投資を増やしているのでしょうか?一方のターゲットの平均は41%、中央値で40%です。2011年と2018年が大きく上振れていますね。これが平均を押し上げています。この他の年は、概ねウォルマートを下回っています。

ざっくりと言えば、ターゲットは事業継続に必要な最低限の投資はウォルマートより低く済みながらも、効率良く営業CFを獲得していることになります。


③1株あたり営業CF
1株あたり営業CFは、営業CFを発行済み普通株式数で割ったものです。CFベースの1株利益みたいなものです。
発行済み普通株式数は、Weighted-average common shares outstanding(加重平均した普通株式数)を使用しました。

1株当たり営業CF

ウォルマートの平均は8.18ドル、中央値は8.51ドルです。2009年から2019年で30%増加しました。
近年は伸び悩んでいますね。一方、ターゲットはバラつきはありながらも順調に伸びています。
平均で9.50ドル、中央値で9.33ドルです。同期間で77%増加しました。

④CFベース配当性向
CFベース配当性向は、配当総額をフリーCFで割って算出します。フリーCFで会社に残ったキャッシュのうち、
どれだけ株主に還元したかが分かります。

CFベース配当性向

ウォルマートの平均は40%、中央値も40%です。連続増配株だから配当性向は上昇していっていいはずなのですが、
緩やかな上昇はあるものの、あまり極端な上昇は見られませんね。これは、それなりにフリーCFを残しているからです。
一方のターゲットは平均で35%、中央値で30%です。ウォルマートを下回っているもの、2009年は12%だったのに、
2019年は33%と明らかな上昇が見られます。ただし水準としては安全圏です。


いかがでしたか?小売り業界の巨人ウォルマートとブルズアイのターゲット。
キャッシュフロー分析では、ややターゲットの方が優秀だったように感じます。業界1位銘柄が必ずしも
ファンダメンタルズで良いとは限らないことが分かりましたね。皆さんはどう判断されるでしょうか?


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