こんにちは。時短父さんです。

米航空大手4社(アメリカン=AAL、デルタ=DAL、ユナイテッド=UAL、サウスウエスト=LUV)の2020年第1四半期の決算が出揃いました。予想はついていたことですが、新型コロナの影響で旅客需要が急減したことで、軒並み衝撃的な数字が並ぶ結果となりました。

売上高は各社とも16%~20%減少となりました。
AALは85.1億ドルで前年比19.5%減少。
DALは85.9億ドルで同18.0%減少。
UALは79.7億ドルで同16.8%減少。
LUVは42億ドルで同17.8%減少。
1Q売上高推移

4社が揃ってここまでの落ち込みをしたのは2014年以降では初めてのことです。LUVは第1四半期としては増収を続けてきましたが、ついに減収に転じました。4社合計の減収額は64億ドルに達します。これはLUVの四半期売上高が軽く消えたことになります。

国際線を持たないLUVを除き、国際線の業績が大きなダメージを受けました。特に新型コロナが最初に発生した中国と米国を結ぶ路線を中心に太平洋路線の減収が顕著です。確かかなり初期の段階で思い切った減便、欠航を決めていたと記憶しています。

AALの太平洋路線は輸送能力4割減、旅客マイル(=全旅客がどれだけの距離を移動したか)は45%減少しました。国際線合計でも22%減少しました。

DALも太平洋路線の輸送能力を26%減少させたことで、同地域からの収入が33%減少。大西洋路線も輸送能力を12%減少させ、収入が23%減少しました。

UALは旅客数が16%減少しましたが、輸送能力の抑制は7%減に留まりました。

通常航空会社は、需要が減少すると見込むと、減便や欠航、機材の小型化で輸送能力を落とします。提供座席数を落とすという言い方もしますね。そうすることで、燃料費、運航・客室乗務員の手当、空港使用料など変動費を抑えることができるからです。しかし、各社の様子を見ると、輸送能力の減少以上に、旅客数や旅客からの収入が減少しており、費用抑制の効果が十分でなかったことが分かります。


各社の純損益を見てみます。
AALは22.4億ドルの純損失。
DALは5.3億ドルの純損失。
UALは17.0億ドルの純損失。
LUVは0.9億ドルの純損失。

悲惨ですね・・・

1Q純利益推移

4社合計の純損失額は45.7億ドルに達しました。
AALの損失が突出していますが、これは11億ドルの特別費用を計上したからです。これにはB757やB767、A330-300など機材の早期退役に伴うコスト、機材の減損処理の他、早期退職プログラムに関連する費用が含まれます。

UALも大きく減益となっていますが、こちらはもともと高コスト体質な会社です。過去の推移を見ても純利益があまり残っていないことが分かると思います。だからちょっとの減収でも(今回は16%減ですが)、大幅な減益となっていまうのです。

LUVはローコストを謳っているだけあって、この状況でも赤字幅は最小限に抑えた模様です。使用機材は小型機一つですし、国際線の運航をしていないこともプラス材料だったと思います。


各社とも原油価格の下落で、燃料費を8%~14%減少させており、営業費用全体でも数%程度減少させていました。しかし、それ以上に売上高の減少が各社を直撃したのです。

上記の結果はまだ新型コロナの影響が半分程度しか反映されていません。4~6月期はさらに業績が落ち込むことが予想されます。UALは今年5月の旅客予約数は、昨年5月の一日あたりの旅客数に満たないと述べた他、DALのバスデュアンCEOは「需要はほぼゼロになった」と指摘しています。業界全体で収入は95%減るとの見方もあるそうです。

各社は早期退職を募ったり、設備投資を中止したりして費用抑制を図ると同時に、社債を発行し、公募増資を行い、政府から財政支援を受け、手元資金の確保を急いでいます。

航空業界を巡っては、今後もしばらくは厳しい状況が続くことは間違いありません。V字回復はありえないでしょう。長いトンネルの出口はまだ見えてきません。


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