こんにちは。時短父さんです。

米コングロマリットのスリーエム(MMM、以下3M)は、ドラッグ・デリバリー事業の売却手続きが完了したと発表しました。同事業の売却については、昨年12月に発表されており、2020年上期中に手続きが完了するとしていました。

売却の相手は、米投資会社アルタリス・キャピタルパートナーズです。売却額は6.5億ドルで、それ相当の現金と利付け証券、17%の非支配株主持分を、3Mは受け取る予定です。売却発表時には、アルタリスの名前しか出ていませんでした。

実際にその事業をオペレーションするのは、Kindeva Drug Delivery(以下、キンデバ)です。キンデバは、3Mと同じミネソタ州に本拠を置く、医薬品業界の開発・製造メーカーです。主にドラッグ・デリバリーの技術に長けています。キンデバ製品は世界60ヶ国で使用されていると言います。


ドラッグ・デリバリーとは、体内の薬物分布を量的・空間的・時間的に制御して、コントロールする薬物伝達システムのことです。薬物輸送(送達)システムとも呼ばれています。
3Mではドラッグデリバリー事業において、以下のような製品群を有していました。

吸入器・マイクロニードル(微小針)
Drug delivery

経皮吸収剤
Drug delivery 2

これらを患部に刺したり、貼付したりして薬を投与するのですね。3Mはこれらの製品群からの年間3.8億ドルの売上を出していました。

年間3.8億ドルのビジネスを、6.5億ドルで売却する。

この判断が正しいのかどうかは分かりません。これによって1株あたり0.40ドルの利益押し上げ効果があります。当初見込みでは0.45~0.50ドルでしたが、やや減額されましたね。ただこれは一時的な要因です。ポイントは17%の非支配株主持ち分でしょうか。これによりドラッグ・デリバリー事業での利益の一部分が、売却したとはいえ3Mに流れ込み続けることになります。

3Mのマイケル・ローマン会長兼CEOは、この事業譲渡により3Mはより多くの資源を、ドラッグデリバリー事業のからの持ち分を保有するだけでなく、ヘルスケア分野のコアな部分へ投資できるようになり、やがて大きく成長していくだろうと述べていました。

そのコアな部分というは、創傷治療薬が専門のアセリティ社の買収ですね。3Mは同社を昨年買収し、ヘルスケア部門の売上高を飛躍的に(20年1Qは前年比21%)増加させました。

世界経済の低迷がどこまで続くか分かりません。3Mの産業部門やエレクトロニクス部門、消費者部門は景気敏感事業たちばかりです。これらは世界経済の行方に業績を左右されがちです。そんな中で安定的に業績を維持できるヘルスケア部門に注力しようというのは、正解なのかもしれません。アセリティ社の買収で、3Mのキャッシュフローはややダメージを受けましたが、今後これが同社の成長エンジンになってくれることでしょう。


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