こんにちは。時短父さんです。

歴史的な協調減産の合意にも関わらず、原油価格はなかなか下げ止まりません。WTI先物は節目の20ドルを割り込みました。

各国の検疫強化と移動制限により航空便が大幅に削減され、都市封鎖でガソリン需要が減少し、工場の生産活動が停止されれば、当然です。

実は原油価格だけでなく、エネルギー全般の取引価格は、世界経済の見通し悪化を背景に下落傾向にあります。天然ガスは年初来22%下落、石炭は25%下落しているのです。

航空株は人の移動制限により、産油株は原油安により、それぞれ事業の大幅縮小を迫られ、株価は低迷、減配リスクに晒されています。

一方でエネルギー価格の下落が恩恵となる業界もあります。それが公益事業会社です。公益事業というのは、電力やガス、水道事業のことですね。水道事業はエネルギー価格とはあまり相関がありませんが。

電気やガスを各家庭に供給する事業をしている企業にとっては、エネルギー価格の下落が直接的な恩恵となり得ます。仕入れコストや発電コストが大きく下がるからだけでなく、今回の危機では住民の自宅待機により電気やガスの使用量が増えるからです。

そこで以下に、電力やガスを供給している米国企業を3銘柄紹介します。

サザン(SO)
サザンは、傘下の事業会社を通じて、米国南部ジョージア州やアラバマ州を中心に、家庭と事業所向けに、電力とガスを供給しています。顧客数は約900万で、年間売上高は214億ドルとなっています。2019年は売上高が前年比9%落ち込んだものの、営業利益、純利益ともに前年比を大きく上回りました。一株あたり利益も2015年から8%増えました。
【SO】業績

アメリカン・エレクトリック・カンパニー(AEP)
オハイオ州に拠点を置き、オハイオ州、インディアナ州など中西部12州に展開しています。顧客数は約550万です。年間売上高は155億ドルとなっていて、ほぼ毎年同じような水準です(増減が少ない)。営業利益、純利益ともに2015年から減少しています。一株利益も2016年を除て、ほぼ横ばいです。成長性がないと見るか、安定性があると見るかは人それぞれですね。
【AEP】業績

ドミニオンエナジー(D)
バージニア州に拠点を置き、ノース&サウスカロライナ州、ユタ州など約20州に展開しています。比較的人口の少ない州が多い印象です。顧客数は約700万で、各家庭と事業所に電力とガス供給しています。年間売上高は増加傾向にあり、2019年はガスパイプライン会社を取得したことで大きく増加し、165億ドルとなりました。ただし営業利益、純利益、一株利益ともに減少しました。
【D】業績

上記3銘柄の年初来の株価をS&P500指数と比較してみます。

コロナショックで最大に下げたのは3月23日で、S&P500指数は-31.3%、サザンは-31.0%、アメリカン・エレクトリック・カンパニーは-25.1%、ドミニオンエナジーは-27.5%でした。

4月16日の株価は、S&P500指数が対年初来で-14.1%となっているのに対して、サザンは-11.7%、アメリカン・エレクトリック・カンパニーは-10.1%、ドミニオンエナジーは-4.7%でした。

期間を通じてほぼ一貫してS&P500指数を上回るパフォーマンスとなっています。
株価推移

株価だけではありません。配当も魅力的です。
サザンの連続増配年は18年で、現在の配当利回りは4.48%となっていて、3銘柄のなかでは抜きに出ています。アメリカン・エレクトリック・カンパニーは連続増配7年、配当利回り3.33%、ドミニオンエナジーの連続増配は11年、配当利回りは4.82%です。

電力・ガスといった生活に根差した企業は、急激な成長は期待できませんが、確実に収益を生み出しています。人がそこに住み続ける限り、需要は衰えません。人口増加が続く米国の公益事業銘柄への投資は、投資家に一程度の安心を与えることになると思います。


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