こんにちは。時短父さんです。

インカム投資家にとってのバイブルともいうべき著書があります。ジュレミー・シーゲル教授の『株式投資の未来』です。
この本では、株式投資において受け取った配当を再投資することで、持株数を増やし、更なる配当を受け取っていく「配当再投資戦略」の強みを訴えています。割安株を買い、配当を再投資することで、成長株を買うよりも大きいリターンが得られるとしています。同書では割安株の代表として現在のエクソン・モービルと、成長株の代表としてIBMが挙げられていました。IBMは現在では前者の仲間入りしていますが。

多くの米国株投資家はこの本の内容に感銘を受けて、割安(と思われる)株や高配当株を買っています。実際、米国株ブログ村の住人が配当や高配当株をテーマにした記事を掲載していることからも分かります。自分もその一人です。

どうして配当再投資戦略は人気があるのでしょうか?
恐らく、配当を出す、またはそれを多く出す企業というのは基本的に成熟企業です。それらの多くは世界的にも有名なブランドを持っている企業で、安定感のある経営をしているから、過去の実績に裏打ちされているからというのが理由でしょう。また配当という不労所得を定期的に受け取る快感があるのかもしれません。コツコツ貯める性格の人向きの投資法という面もあるでしょう。

さて、『株式投資の未来』では割安株への配当再投資戦略が良いパフォーマンスを発揮していたと証明する一方で、「成長の罠」についても触れています。「成長の罠」とは、株式投資のリターンは実際の利益率の伸びよりも、期待に対する伸びに掛かっているというものです。成長株は投資家の期待が大きい分、常にそれ以上の利益を達成する必要があり、実際はそれが難しいために投資リターンはそれほど高くないのです。

インカム投資家になった人たちは、きっとこの「成長の罠」に陥らないために、配当再投資戦略を採るようになったと思います。その道の権威がそう言えば、良いものとして信じられてしまう。きっと執筆当時はそうだったのかもしれませんが。

では実際にどうだったのでしょうか?
いくつかの銘柄を取り上げて比較してみたいと思います。
割安株・高配当株の代表は、エクソン・モービル(XOM)とAT&T(T)です。どちらも常に配当利回り5%前後あり、インカム投資家にとっては持っていたい銘柄とされています。
一方、成長株の代表はアマゾン・ドットコム(AMZN)とビザ(V)です。
この4銘柄についてそれほど異存はないかと思います。

10年前にこれら4銘柄それぞれ1万ドルを投資したとして試算してみました。受け取った配当はそのまま当時の株価で再投資し(アマゾンは配当なし)、それ以外の買い増しはしません。10回の配当再投資でどれだけ資産額が増えたでしょうか?高配当株は成長株よりも資産額は大きくなったのでしょうか?

4銘柄の株価推移は以下の通りです。もうAMZNが圧倒的ですね。あのビザがほぼフラットに見えます。10年前に125ドルだったAMZN株は、現在2100ドル超えです。Vも16ドルから205ドルになりました。XOMは45ドルから59ドル、Tは14ドルから38ドルです。
株価推移

4銘柄の年間配当の推移は以下の通りです。
年間配当推移
やはり割安株・高配当株は、絶対額では成長株の配当額を上回ります。XOMは10年間で配当は2倍、Tは21%増、当然AMZNは0、Vは8倍となっています。Vの8倍は凄いですね。

これらを再投資していった場合の資産額(評価額)は以下のような結果になりました。
配当再投資による資産額推移
10年前に1万ドル投資した資産は、XOMで2万ドル弱、Tで5.5万ドル、Vで13万ドル、AMZNは16.8万ドルとなりました。XOMとAMZNで実に8倍の差が出てしまいました。XOMやTは、配当では圧倒していましたが、株価パフォーマンスでは低位だったことが影響しました。Vは株価も好調で、配当を急速に増やしていて、配当を再投資することで資産額を押し上げました。

はたしてこの結果をもって、配当再投資戦略が絶対的に有利かと言われれば、首をかしげたくなるではないでしょうか?「成長の罠」に陥るのを避けるため、配当再投資戦略を採用したかもしれませんが、実際は「成長の罠」の罠に陥ったと言えます。

配当の再投資は資産の増加に必要なのは間違いありません。しかし、これを信じ過ぎない冷静な判断力も投資には必要なのかもしれませんね。

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