こんにちは。時短父さんです。
あの悪夢のような出来事から間もなく1年が経とうとしています。
悪夢のような出来事とは、クラフト・ハインツ(KHC)による36%もの減配です。その発表により株価は暴落し、今に至るまで低迷が続いています。多くのホルダーさんが含み損を抱えていることと思います。
悪夢のような出来事とは、クラフト・ハインツ(KHC)による36%もの減配です。その発表により株価は暴落し、今に至るまで低迷が続いています。多くのホルダーさんが含み損を抱えていることと思います。
2019年も終わり、第4四半期並びに通期の業績が気になるところではありますが、改めてあの減配は本当に必要な措置だったのか?検証しておきたいと思います。
まず当時の概況ですが、2018年(通期)の売上高は262億ドル(前年同期比0.7%増加)、営業損失は102億ドル、純損失は102億ドル、希薄化後1株利益は-8.36ドルでした。

売上高は、2015年のクラフトとハインツの合併以来(2016年~2018年)、ほとんど伸びていません。背景には世界的な健康志向が影響したと言われています。主力のチーズやケチャップは、高カロリーな上に塩分が多いですからね。
また大株主であるブラジルの投資会社3Gキャピタルから派遣されてきた経営陣によるゼロベースでコストを積み上げる手法が、行き過ぎだったとの批判もあります。2016年、2017年はうまく利益に反映させてこられたのですが、2018年は大赤字となってしまいました。
減配の最も直接的な原因と思われるのが、2018年の純損失102億ドルですね。これは154億ドルにも及ぶ巨額の減損処理が実行されたためです。クラフトとの合併で発生したのれんや無形固定資産が、ブランド価値の低下によって当初見込まれた利益を生まないとは判断されたのです。
もう一つの大株主であるバークシャー・ハサウェイのウォーレン・バフェットは、クラフトとの合併は高い買い物だったことを認めざるを得なくなりました。
当時のバランスシートを見ると、いかにのれん代や無形固定資産が多かったが分かると思います。
減損処理の結果、1株損益は-8.36ドルと、途方もない大赤字になってしまいました。減損処理したにも関わらず、のれんや無形固定資産は、今でも大きな割合を占めています。

キャッシュフローは事前に異変の兆候を示していました。前年の2017年まで、年を追うごとに営業キャッシュフローマージンが悪化していました。

で、結局減配は必要だったのか?
当時のバランスシートを見ると、現金同等物は、11.3億ドルしかありません。仮に四半期配当額(0.625ドル)を維持していたら、四半期配当の支払いだけで7.6億ドルの現金が流出していました。
1株損益も大幅なマイナス、フリーキャッシュフローもマイナス、クラフト・ハインツを取り巻く事業環境も厳しく、すぐには好転しない状況では、減配は致し方なかったと言えます。
例え1株損益がマイナスでも、それは現金流出を伴わない会計上の処理が理由なので、赤字だけなら、減配はなかったかもしれないです。あっても減配の程度は小さかったかもしれないです。
ですが、営業キャッシュフローマージンの低下が示すように、やはり本業で現金を稼げない事実がありました。企業活動にとって現金は、血液みたいなものです。そのストックとフローがないと、企業にも致命的になります。
クラフト・ハインツの当時の財務状況や諸環境を考えると、減配はやはり仕方ない(納得できないけど)結論だったのでしょう。
ここまで悲観的なことばかり述べてきましたが、クラフト・ハインツも手をこまねいていた訳ではありません。
経営陣の交代、一部事業売却、健康志向に合わせた新商品投入などです。幸いにして第3四半期の業績は、改善の兆しを見せてくれました。キャッシュフローも改善しました。
ホルダーとして気になるのは、今年の増配はあるのか?減配した配当が元の水準(年間2.5ドル)戻るのはいつか?といったところでしょう。
最終的には通期の業績次第ですが、第3四半期までの業績を見れば、今年の増配は十分にあり得ると考えています。おそらく2%~4%の幅となる可能性が高いです。そうすると年間配当は現行の1.60ドルから1.632ドル~1.664ドル程度となります。営業キャッシュフローは増加していますし、一部事業売却という一時的な要因ではあるものの、フリーキャッシュフローは既に前年の2倍以上になっています。
とはいえ、仮に楽観的に5%の増配が毎年続くと見積もっても、年間配当が2.5ドルに達するのは2028年~2029年となります。クラフト・ハインツの大幅な業績回復と事業の成長が見込めないなかでは、厳しい状況であることは言うまでもありませんね。

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