こんにちは。時短父さんです。
ゼネラル・エレクトリック(GE)は、債務削減のため2021年1月から企業年金の支払いを凍結すると発表しました。報道によると、新規加入の受け付けをやめた12年以前に加入済みの米従業員約2万人が対象(※すでに年金給付を受けている加入者は対象外)となるようです。
GEは金融事業や主力の電力事業の損失によって巨額の債務を抱えていて、年金給付の凍結により財務基盤の改善を急ぐことになります。今回の措置により年金基金の積み立て不足分で50~80億ドル(約5300億~8500億円)、純負債は40~60億ドル圧縮できるのだそうです。すごい額ですね…
さてこのニュースを聞いて、サラリーマン投資家である私は2つのことを思いました。
まずはサラリーマンとして、私的年金用の資産をしっかり築いておこうということ。
ゼネラル・エレクトリックは、1896年のダウ平均株価算出時から唯一残っていた銘柄であり、トーマス・エジソンを起源とした超一流企業でした。ジャック・ウェルチやジェフ・イメルトといった有名な経営者もいました。主力製品の航空機エンジンは、ボーイングなど主要航空機メーカーに納品されています。
ま、とにかく有名で老舗で巨大な多国籍企業だったことは間違いありません。そんなGEで働いていたら、それは誇りだろうし、将来は安泰だと思っても不思議ではありません。退職後も会社が面倒を見てくれるだろうと、誰もがそう思ったことでしょう。
にも関わらず、企業年金の支払いが凍結されるなんて、まさか夢にも思わなかったはずです。
勤める企業は違えど、サラリーマンとしてGE従業員の二の舞にならないようにするには何ができるかを考えねばなりません。
やはり私的年金用の資産を今から積み上げておくのが良いのだと思います。公的年金との対比で言えば、企業年金も"私的"なのかもしれないですが、GEの件でそれでは不十分だと分かりました。少なくとも自分の老後が、一企業の業績に左右されるような資産形成は、ややリスキーですね。
もう一つは投資家としての心配です。自分の保有銘柄のなかで、年金債務(退職給付債務)が多い企業はないのか、ということ。
各社が公表している最新のバランスシートから、年金債務に関わる科目が総資産に占める比率を調べてみました。
もちろん年金債務だけが悪いわけではないですが、JALがコケた時も年金債務の割合が高かったですから、注意は必要です。
GE 2%
JAL 25%(2009年時点で、「退職給付債務に関する事項」を含む)
GEの総資産に占める退職給付に関わる債務は2%で、異常な数値ではなかったです。むしろ2%程度で何故、支払凍結に?と思うくらいです。債務は将来発生する支払であるに対して、実際に支払うキャッシュの積立が不足していたのでしょうね。キャッシュがなければ支払えませんから。
JALの場合、退職給付引当金(949億円)で見ると、総資産に占める比率は6%程度でしたが、「退職給付債務に関する事項」では3,314億円もありました。これを含むと25%に跳ね上がり、実際は債務超過だったことが分かります。
GEの場合も注記をよく読めば詳細が分かるのかもしれませんが、そこまでの英語力がなくて、できませんでした。
保有銘柄(一部)年金債務の比率
MMM 7%
IBM 11%
JNJ 1%
T 4%
VZ 6%
XOM 5%
ざっと調べた限りでは5%前後というのが普通のようです。JNJは1%で優秀でしたが、意外にもIBMは2桁でした。
年金債務が高いからといって今すぐどうなるわけでもないです。低いにこしたことはないのでしょうが。
でも今回初めて保有銘柄の年金債務に注目してみました。保有銘柄がどんな財政状況なのか把握しておくのは大切ですね。
最近は企業年金も確定給付型から確定拠出型に移行しています。企業が全従業員の老後の面倒まで見るのは、ほぼ不可能です。そこで働くにせよ、投資するにせよ、万一に備えた対策は日頃からしておきたいものですね。
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