こんにちは。時短父さんです。

米食品大手のクラフト・ハインツが3ヶ月遅れで、2018年の年次報告書(アニュアルレポート)を証券取引委員会に提出しました。同時に同社ホームページにも掲載がされましたので、掻い摘んで読んでみました(全419ページもある)。

そもそも、何故こんなにも遅れたかといえば、昨年秋に証券取引委員会から召喚状を受け取ったからです。召喚の理由は、取引慣行の不正、内部統制の問題、上級幹部の関与の疑いなどでした。取引慣行については、従業員の間で一部誤りがあったと認めていていますが、上級幹部の関与は否定。その他の問題については引き続き、調査が行われているようです。

2018年の最終決算では、ブランド「クラフト」「オスカーメイヤー」についての無形資産やカナダの小売り事業、アメリカの冷蔵食品事業においてのれん代として、154億ドルもの減損処理が発生し、巨額の赤字を計上したのでした。

過去の決算書類(主に2016年と2017年の訂正が必要との指摘を受けていて、その作業に莫大な時間と労力が投入された模様です。そして、やっと2018年の年次報告書だけは作業が完了し、発表に至りました。しかし、まだ2019年第1四半期の決算は出ておらず、ほっとできる状況ではなさそうです。

ひとまず過去の決算が訂正されたので、こちらで紹介しておきます。
業績推移(訂正前)

業績推移(訂正後)
2016年(訂正前→訂正後)
売上高 264億ドル→263億ドル
営業利益 61億ドル→56億ドル
純利益 36億ドル→34億ドル
希薄化後EPS 2.81ドル→2.78ドル

2017年(訂正前→訂正後)
売上高 262億ドル→260億ドル
営業利益 67億ドル→60億ドル
純利益 109.9億ドル→109.4億ドル
希薄化後EPS 8.95ドル→8.91ドル

キャッシュフローは以下の通りです。
CF推移(訂正前)

CF推移(訂正後)

2016年(訂正前→訂正後)
営業CF 26.49億ドル→26.48億ドル
投資CF 14.52億ドル→同
フリーCF 41.01億ドル→41.00億ドル

2017年(訂正前→訂正後)
営業CF 5.27億ドル→5.01億ドル
投資CF 11.56億ドル→11.77億ドル
フリーCF 16.83億ドル→16.78億ドル

四半期決算発表では、2018年のキャッシュフローは発表されていませんでした。今回わかりましたので、グラフに反映しました。営業CFは前年に比べて増加しており、営業CFマージンも10%に改善しています(2017年は2%)。

さて、今回の決算訂正の件を受けて、投資家の間ではひとまず安心感が広がっています。訂正発表後の初めての時間内取引となった10日のクラフト・ハインツの株価は、前日比で5%以上の上げとなりました。いつになったらこの問題が収束するのだろうという不安が一つ拭えたのだと思います。2019年の第1四半期決算については、7月31日までに発表するとプレスリリースしています。
【KHC】株価チャート(2019年6月11日)


余談ではありますが、同社は新たな取締役にカストロネべス氏(52歳)を任命しました。同氏はアンハイザーブッシュで北米統括の幹部などを務めていたキャリアを持っています。7月1日で就任する、次期CEOのパトリシオ氏も同様の経歴を持った人物です。
カストロ氏

ハインツとクラフトの統合を主導した3Gキャピタルからの幹部の影響を少しずつ取り除いていこうということなのでしょうか。
いずれにせよ、経営の立て直しは急務で、投資家の信頼を回復してもらいたいと思います。

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