こんにちは。時短父さんです。

コカ・コーラボトラーズジャパンは、来春から自社で販売する大型ボトル入りコカ・コーラを10%程度の値上げをすると発表しました。輸送コストの上昇が要因で、増税以外での値上げは27年ぶりとのことです。

値上げは、消費者目線では嫌なニュースですが、投資家目線で見てみたいと思います。

コカ・コーラのように特定分野において、圧倒的なブランド力を誇る企業は、投資家から好まれます。何故なら、消費者の脳裏に刷り込まれた製品のイメージが、特定の場面において必ず出現し、(消費者に)自社製品を手に取らせるからです。

例えば、パーティーでピザを食べようと思えば、隣には必ずコカ・コーラがあります。昼飯にハンバーガーを食べたいと思えば、マクドナルドの「m」が頭に浮かびますよね。ケチャップと言えば、ハインツ(日本ではカゴメ?)ですし、家庭用洗剤と言えばP&Gで、絆創膏と言えばバンドエイド(のジョンソン&ジョンソン)です。スマホと言えば、アップルのi Phoneで、パソコンのOSと言えば、マイクロソフトのウィンドウズなどです。

これらのブランドは、消費者から圧倒的な支持を得ている(他に選択肢をイメージできない)ので、多少の値上げでも他社製品に移られることはありません。

著名投資家ウォーレン・バフェットは、「ワイドモート」という言葉で表現しました。『億万長者をめざす バフェット銘柄選択術』によれば、バフェットは「消費者独占型企業」を好んで投資しています。

同書では、消費者独占型企業の特性を8つ紹介しています。
①消費者独占力を持つ製品・サービスがあるか
②1株あたり利益が力強い増加基調にあるか
③多額の負債を抱えていないか
④株主資本利益率は十分高いか
⑤現状を維持するのために、内部留保利益の大きな割合を再投資する必要があるか
⑥内部留保利益を新規事業や自社株買戻しに自由に使えるか
⑦インフレを価格に転嫁できるか
⑧内部留保利益の再投資による利益が、株価上昇につながっているか

詳細は同書をお読み頂きたいですが、ここでは⑦インフレを価格に転嫁できるか、に焦点を当てます。

どんな製品でも、人件費や材料費などコストが掛かります。インフレとは、モノやサービスの値段が継続的に上がる状態のことを指します。

インフレ下では、原材料費や輸送費、人件費が上昇し、製品のコストが上がります。この時、製品の販売価格が従来と同じでは、会社に残る利益は減ってしまいます。同じ水準の利益を確保するには、販売価格を上げるしかありません。

これができるのが、消費者に圧倒的なブランドイメージを持たせている、会社なり製品なのです。コカ・コーラはまさにそれに当てはまると言えますので、バフェット氏が好んで投資する銘柄の選択基準の一つとして、インフレを価格に転嫁できる企業というのは納得です。

逆にインフレを価格に転嫁できない製品やサービスもあります。
航空運賃はなかなか上げにくい。何故なら、航空会社を利用する最大のポイントはA地点からB地点への安全な移動です。どの航空会社もほとんど同じ航空機を使っているので、同区間への到達時間に差異は出ません。サービスでの差別化も難しいので、運賃で魅力的になる(価格を下げる)しか売上を高める方法はないのです。

またガソリン販売も同様です。ガソリンを買う目的は、自動車を走らせて移動することです。C会社のガソリンがD社より優れているから、速く走れるということはありません。消費者からすれば、特定のガソリン販売会社を使い続ける必要はなく、ガソリン価格でその日の給油先を決めることになります。
従って、ガソリン販売会社は価格で魅力的にならざるを得ず、絶えず近隣スタンドの価格動向を注視しなければならないのです。

これら、インフレを価格転嫁しにくい会社をコモディティ企業と呼びます。

コカ・コーラのような製品は、強いブランド力があるだけでなく、販売業者が扱わざるを得ないような製品でもあります。

コカ・コーラのロゴは、街中の至るところで目にできますよね。ファミレスに入れば、ドリンクバーには必ずコカ・コーラがありますし、あのマクドナルドにもコカ・コーラは置いてあります。清涼飲料の自販機でもコカ・コーラは目立ちます。スーパーの陳列棚にも必ずあります。

暑い日に、スポーツをした後に、ピザと一緒に飲む炭酸飲料というイメージが消費者の中に出来上がっているので、コカ・コーラを置いていないと客を失うことになるのです。

だから、例え10%値上げしようが、消費者がコカ・コーラを飲むのを止めるようなことはないでしょう。こういった視点で銘柄選択すると、本当の優良銘柄なんて数えるほどしかないかもしれませんね。

※コカ・コーラボトラーズジャパンは東証1部企業です。同社は、米国コカ・コーラ社から日本コカ・コーラ社(非上場)を経由して、ボトリング事業を任されているだけなので、投資するならNYSE上場のコカ・コーラ社にするのが賢明です。
【KO】キャッシュフロー推移
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村 株ブログ 配当・配当金へ