こんにちは。時短父さんです。

12月は冬のボーナスが入ったり、住宅ローン控除による所得税が還付されたりする時期です。臨時に手にする大きなお金を前にして、繰り上げ返済を考える人もいると思います。もし、あなたが今繰り上げ返済を考えている人なら、それちょっと待ってください。どうせ繰り上げ返済するなら、少しでもお得に返済したいですよね?するかしないか、以下を読んでみてからにしてみて下さい。

住宅ローンを組んで自宅を購入した場合には、毎月の支払に加えて繰り上げ返済をすると、トータルの利息の支払を減らすことができます。これは支払利息にも複利の力が働いているからです。
繰り上げ返済には、やり方が2つあります。完済時期は前倒さずに毎月の返済額を少なくするやり方(返済額軽減型)と、毎月の返済額を変えずに完済時期を前倒すやり方(期間短縮型)があります。

1.返済利率<運用利回り⇒繰り上げ返済しない!
もしあなたが住宅ローンを返済しながらも、将来に備えて資産運用をしていた場合を考えてみて下さい。投資信託での積立でも結構ですし、個別株での取引でも構いません。
この時、以下の不等式が成り立つのなら、繰り上げ返済はお勧めしません。
 返済利率<運用利回り
現在の低金利のもとでは、固定金利でも1%台前半~2%台が主流ですし、変動金利では0.5%を切る商品も出回っています。例えば住信SBIネット銀行のフラット35では1.32%、変動金利では0.447%となっています。
あなたの手元に余剰の100万円があったとします。この100万円を先の変動金利0.447%の商品へ繰上返済した場合は、100万円は自分のもとから消えてしまい(資産も負債も減る)、0.447%分の利息が減ります。将来の支払利息が4,470円が減った計算ですね。
一方、利回り5%で運用する資産に振り向けた場合、資産は100万円増加します(負債は減らない)。かつ5%の元本の拡大が期待できます。単純に100万円が105万円になります。
運用利回りが返済利率を上回ることが期待できるのなら、繰り上げ返済よりも資産運用に回すべきだと言えます。

とはいえ、全ての人が資産運用のリスクを取れるわけではありませんから、「自分は銀行預金だけで十分だ!」という方または、不等式が逆向き(返済利率>運用利回り)の方は、繰り上げ返済を粛々と進めて下さい。特に比較的高い金利で借りている場合は、その効果はそれなりに高くなります。ただし、その際は繰り上げ返済後の、現預金が十分にあることが前提ですが。

2.年間支払利息<住宅ローン控除額⇒繰り上げ返済しない!
あなたは一年間にいくら利息を払っているかご存知ですか?
毎月の返済額がいくらかというのは、気にしていると思いますが、その内訳(元本部分と利息部分)を把握している方は多くはないと思います。
借入している銀行から「ご返済のお知らせ」という書類が定期的(半年に1回)送られてきます。そこにはちゃんと書いてあります。毎月の返済金額の内訳が。
さて、そのなかで利息部分をどうにかしよう(減らそう)として、繰り上げ返済を試みるわけですが、
これを12カ月分足してみて下さい。いくらになりますか?計算できたら、控えておいてくださいね。

それともう一つ。住宅ローン控除で還付される金額はいくらでしょうか?実際には年末調整や確定申告をしてみて、額が確定しないことには正確にはわからないと思います。しかし、普通は住宅ローン残高の1%が還付されるというものですから、計算は容易なはず。残高2,000万円なら還付は20万円です。

二つの金額を算出できたと思いますが、もし以下の不等式が成り立つのなら、繰り上げ返済はすべきではありません。
 年間支払利息<住宅ローン控除額
例えば、毎月の支払利息が1.3万円だと、年間15.6万円の利息を払っていることになります。住宅ローン残高が2,000万円なら還付額は20万円なので、15.6万円(支払利息)<20万円(控除額)が成立します。
何故、この場合繰り上げ返済すべきではないのでしょうか?
答えは簡単です。上記の例では、支払ている額よりもらっている額の方が大きく、実質的に4.4万円多くもらっている計算です。
それなのに繰り上げ返済してしまうと、住宅ローン残高が減り、翌年の控除額が減ってしまいます。もらえるものがもらえず、結果的に損をしてしまう可能性があります。従って、この場合は住宅ローン控除が受けられる期間は繰り上げ返済すべきでないと言えます。

3.12月に繰り上げ返済しない!
繰上げ返済しない方が良いケースとして、12月、とりわけ年末調整後の繰上げ返済です。
手続きが煩雑になり、還付額が減少するからです。

年末調整は、ご存知の通り給与から天引きされていた推定の所得税を、保険料控除や扶養控除などの個人の諸要素を反映させて確定させる行為です。本来は年度末に税務署にて確定申告すべきところを勤め先の会社が代行してくれるのです。
住宅ローン控除との関係で言えば、関係は大ありです。ローン残高にもよりますが、年末調整にて手続きすると、事前に天引きされていた所得税がほとんど返ってきます。
その手続きは、銀行から送られてくる年末時点のローン残高表を、「住宅借入金等特別控除申告書」に添付して会社に提出するだけです。

ただし、年末調整の手続き後に住宅ローンを繰上げ返済すると、年末時点の残高が変わるので、銀行からの書類と不一致が生じます。この場合、銀行に残高表の再発行を依頼することができます。
正しい残高が記載された書類を手に入れたら、会社に年末調整のやり直しを依頼するか、年度末の確定申告をすることで、正しい残高に修正できます。

控除額の面で言えば、当たり前ですが、繰上げ返済すれば残高は減りますので、還付額は減少します。


以上のような理由から、この時期の繰上げ返済は再考すべきです。
日本人は借金を嫌います。少しでも早く完済したいなら、頑張ればいい。時短父さんも、当初は繰上げ返済を頑張っていました。
しかし、借金返済ばかりに気を取られて、最終的に資産を築けないのは嫌です。どうせなら賢く、お得に返済して行きたいものです。

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