こんにちは。時短父さんです。
ジュレミー・シーゲル著『株式投資の未来』では、生産性の向上は必ずしも株主の利益にはならないと言われています。一般に生産性が良くなると、企業の生産活動に掛かる費用が低く抑えられ、売上が同じでも利益が増えると考えられます。しかし、費用が下がった分、価格競争が起きて利益はむしろ減るというのです。その代表的な例として、航空会社を挙げています。かつては航空券の販売は、代理店経由で行なっていました(高く販売ってきた)。インターネットでの航空券の販売手法が確立すると、代理店への手数料支払が減り、一時的に費用削減を実現しました。しかし、消費者は安い航空券をインターネットで探し始めたため、航空会社はより安い航空券を販売して、顧客を囲い込む戦略に転換せざるを得なかったというのです。
時短父さんは、これは日本の航空会社にも当てはまるのか気になったので、調べてみることにしました。
今では当たり前となった各種割引運賃も、2000年の運賃設定の自由化をきっかけにして、販売を加速させました。ANAでは、2002年10月にインターネット経由の販売額が代理店経由の販売額を抜きました。
日本の大手航空2社(ANAとJAL)の過去の旅キロに対する有償旅客収入(有償の旅客1人を1キロメートル運ぶことで得られる収入)を各社のホームページから見てみました。すると、両社とも国際、国内で横ばいまたは緩やかな下降傾向が見てとれます。つまり、旅客単価は一向に上がっていないということです。
同じく2社の営業利益率を見てみました。本来ならインターネット販売の拡大で費用は減るため、営業利益率は上向くはずです。しかし、2社の営業利益率は2010年ごろまでは低位で、かつ乱高下しながら推移してきました(2009~2010年度JALデータなし)。ちなみに2011年度以降JALの利益率がANAを遥かに凌いでいるのは、経営破たん後の再生がうまくいったためです。直近ではANAも営業利益率を向上させてきています。
以上の旅キロあたりの収入や営業利益率の推移を見てもわかるように、生産性の向上は「利益まで貪りくっていく」いうジュレミー・シーゲル氏の主張は正しいことがわかりました。航空会社への投資は慎重になった方がよさそうです。

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